短編
1
事は、いきなり起きた。
それは唐突だった。
しかも不可抗力…なのか?
悪戯なきっかけ。
今日は学校で生徒会主催(劉輝考案)のハロウィンパーティーが行われた。生徒達は皆楽しく過ごし、文句の無い一日となった。
ただし、生徒会メンバー以外は。
生徒達が安全に行事を楽しむ為には裏方が走り回って色々と指示を出さなければならなかったからだ。ドタバタと時間が過ぎていって、ようやく解放の時を迎えた。
「つ、疲れた……」
「本当だね…」
今、生徒会室には楸瑛と絳攸しかいなかった。
「来年、この企画を絶対に廃止してやる…」
「無理だと思うよ?生徒達に大好評だったし」
「……チッ!」
少しの間話していたら他のメンバーの秀麗、劉輝、珀明が戻って来た。
「ただ今戻りましたー」
「お疲れ様」
「燕青と静蘭は?」
「うーん、まだみたいですね」
各々何時も座っている席を陣取り、一息入れる。そこで劉輝が声をあげた。
「皆で今からお菓子を食べよう」
「いいわね、それ」
今日はハロウィンで生徒達はお菓子食べ放題だったが生徒会は何にも口にしていない。ちょうどお腹も空いていたので皆賛成した。が、
「そこでだ!普通にお菓子を食べるのはつまらない。だからゲームをしながら食べよう!」
と、また劉輝が余計な事を言い出した。絳攸のこめかみに青筋が走った。何故なら今回のハロウィン企画も劉輝の余計な一言から始まったからだ。
「却下!」
「な、何故なのだ!」
「お前が何時も何時もろくな事を言わんからだ!」
余程今回の企画で頭にきてるな、と絳攸と劉輝以外の全員が思った。
「ううっ……絳攸は酷いのだ…」
そしていつの間にか、机の下に器用に潜り込んでのの字を書く劉輝。それを見て哀れに思ったのか珀明、秀麗、楸瑛が劉輝に助け舟を出す。
「絳攸先輩、そんなに怒らずに…」
「そうですよ、聞いてあげるだけでも…」
「会長も悪気はないんだから…」
それを聞いた絳攸はうっ、と詰まった。珀明と秀麗は心の底から劉輝を哀れんで絳攸に進言したが、楸瑛はただ単に自らの娯楽を減らしたくない為に絳攸を諌めた。
「わかったわかった!で、どんな内容なんだ?」
結局、こうなる。
打って変わって元気になった劉輝は嬉々とゲームについて語る。
「それはだな、まず皆が紙にそれぞれ罰ゲームみたいな事を書いて、この箱の中に入れる」
何処からともなく、バンッ!と箱を取り出す。
「そして籤引きみたいに引いて書いてあった指示通りに行動する、というゲームなのだ!」
どうだ?面白そうだろう?と得意そうに面々を見渡す劉輝。指示を大仰なものにしなければ疲れないだろう、と劉輝以外の全員思ったのでやることになった。
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