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短編



万物に終わりが来る事は幼い頃から知っていた。幾つも見てきたから。

そしてそれはどうにもならない事を知っている。

どんなに懇願しても、泣き叫んでも、祈っても、逝っていってしまう、消えていってしまう、去っていってしまう。

慈悲なる微笑みを称えた神は残酷にも連れ去っていくから。

それは突然のこと。


知っていたのに。なのに何故、想いを告げなかった?

この胸の内にある苦しい想いをどうすればいい?


もうアイツはいない。

ならアイツの墓の前に跪ずいて告げればいいのだろうか。

“好きだ”

“愛してる”

けれど無意味。
冷たい土の下にいるアイツに届かない。

涙一滴分も、届かない。


嗚呼、苦しい。


こんなにも苦しいのに、
お前は何一つわからない。

こんな感情を抱くくらいならいっその事、想いを忘れてしまった方がいいのかもしれない。
けど代わりに俺は一生、人を愛することが出来なくなるだろう。


それでも別にいい。


お前がいなくなったこの現実で人を愛せる自信がないから。



だから俺はお前に別れを告げる。



“お前を愛していたよ”





―――愛しき君に捧げるは燃える様な紅い花束。





End

→後書き

 

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