短編
1
今、天からの恵が地上を潤している。
(ここ最近雨ばかり降っているな…。とうとう梅雨の時期か…)
絳攸は窓の外の景色を見てから菫色の目を不機嫌そうに細めると重たい溜め息をついた。梅雨は嫌いな季節だ。洗濯物が乾かないし、音が耳障りだし、ジメジメしているから憂鬱になる。
「はぁ…」
もう一度溜め息をつくと、携帯を開いて画面を見る。そろそろ夕食の時間だ。けど体が重たくて夕食を作る気にはなれない。それに食欲がない。今日は夕食はなしにしてさっさと寝よう。
重たい体を引きずって寝室へ向かう。
嗚呼、体がだるい。
リビングから寝室までそんなに距離はないはずなのに随分歩いた気がした。
寝室に着いた途端ベットに倒れ込む。寒気があるにも関わらず絳攸は掛け布団も掛けずにそのまま目を閉じると直ぐに眠りに落ちた。
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