『山奥に住んでるって言ってたが、家族とかも一緒なのか?』

「…家族はおらぬ。皆、我より先に死んでしまった。両親は普通のきつねと人間であったため早くに寿命を迎えた。そして兄上は病弱であったため…」

じゃあ、ずっと1人で山奥に…

『寂しくねぇのか?』

「あまりにも長く1人でいたからか、寂しいと思うことすらなくなったわ」

毛利はうつむいている。

そんなはずねぇだろ。
だって今の毛利の声、すっげぇ悲しそうで――


「それより貴様には、随分と迷惑をかけてしまったな。詫びとして何か我にできることはないか?」

いや…
詫びっつってもなぁ。

『んなこといいって』

そう言って笑ったんだが、毛利はなんだか不満そうだ。

「それでは我の気がすまぬ」

そんなこと言われてもなぁ。

ん?待てよ。
…いいこと思いついたぜ。

『どんなことでもいいのか?』

「我にできる範囲のことであれば、何でもするぞ。願いを言ってみよ」

分かった。

んじゃあ、お言葉に甘えて、俺の願いかなえてもらおうか…


「俺の願いは―――

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あきゅろす。
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