「おい!目を覚ませ!」

誰かに揺さぶられている。
この声は―

「しっかりせよ!長曾我部!」

そうだ…毛利の声。

俺はゆっくりと目を開けた。

「大丈夫か?」

人間姿の毛利が心配そうな目で俺を見ている。

「すまなかった。そんなに驚くとは思っていなかったゆえ」

毛利はなんだかしゅんとしている。

『いいってことよ!』

俺が笑顔を向ければ、
毛利は安心したのか、ほっと息をついた。


『そりゃそうと、毛利は一体何者なんだ?』

あのきつねが、毛利の本当の姿なんだろうか…

「それは、話せば長くなるのだが、貴様、きつねが人間の姿に化けると言う話を聞いたことはあるか?」

『あぁ。それなら聞いたことあるぜ』

確か、日本昔話かなんかで、頭に葉っぱを載せたきつねが変身してたような気が…
いや、ありゃあ、たぬきだったかもしれねぇ。

頭を悩ませている俺をよそに、毛利は説明しはじめた。


「それは本当のことなのだ。
はるか昔、海を超えた大陸に、きつねは100歳になると人間の女に化ける妖怪になる、という伝説があった。その頃のことは我もよく知らないが、確かにきつねは人間の女に化けることができたようだ。そして長い年月が経つうちに、きつねの中には人間に化けることのできる者が増えていったと聞いている」

なるほど…。

『じゃあ毛利も、人に化けることができるきつねってことなのか?』

「まぁ、そういうことなのだが我は少し違うのだ」

『違う?』

どういうことだ?

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あきゅろす。
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