『なんだありゃあ?』

一瞬、月の前を何か横切った。
いや、横切ったかと思ったんだが、だんだんとこっちに近付いてきている。

『アレはなんだ!?鳥か!?飛行機か!?いや違う!!きつねだ!!』

この台詞、いっぺん言ってみたかったんだよなぁ…

…って、ええぇぇぇぇ!?
きつね!? なんできつね?

俺は混乱しきった頭を必死に働かせる―。

俺は長曾我部元親。
大学4年生で、ボロだが家賃が安く、一人で住むには広すぎるアパートで、一人暮らしを満喫している。

今日は見事な満月だったから、ベランダから眺めていた。

…勘違いすんなよ?
別に一緒にいてくれる彼女がいなくて寂しいってわけじゃねぇからな!!

ちなみに空からきつねが降ってくる光景を今まで一度も見たことがないし、きつねが空を飛ぶって話すら聞いたことがない!!

それから、それから――

ひゅるるるるるる…

思考回路をフル活動させている間に、きつねはどんどん近付いてきた。

えっ?もうコレ
受け止めるしかなくね!?

そう思ったが、時すでに遅し。

ドゴォっ!!
俺の目の前は真っ暗になった――

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あきゅろす。
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