私と貴方の逃走劇
偽りの愛
−−ザワザワ、、、
歓声はいつの間にか止んでいて。
辺りは騒がしくなっていた。
何事かと大口を開けて
目を見開き私達を見ている人々が恐くて。
『オビト・・・私・・・ここ、嫌・・』
声がガクガクと震える。
この場から抜け出したい。 という一心で・・・
気付いたときには、私はオビトの腕を引っ張り、走り出していた。
「何処に行くんだ?」
『遠い、所・・・?』
行く場所なんて無い。
ここから、ある程度離れた場所に行きたい。
「待て!」
来ないでよ。
近寄らないで!
汗と涙が混ざり合い、ポタリと地に落ちる。
お願いだから、来ないでよ・・・・
「大丈夫だ、オレが守る・・・」
ありがとうね、オビト−−
だが、お礼なんて言う余裕は無い。
忍の癖して、私は体力が無いから・・・
今は足を動かし、走る事しか出来ない。
『っは・・・はぁ・・・』
後ろを振り向いてみる。
物凄い形相で、婚約者(あいつ)は追いかけて来た。
でも、何故か恐くない。
緊張も解れていて・・・
−−−−オビトが居るから?
「行くぞ」
『ん・・・・・』
−−−ズズズズ
私はオビトに手を繋がれ。
その場から姿を消した。
『さようなら・・・』
私の、故郷・・・・。
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