私と貴方の逃走劇
偽りの愛
愛を片手に、私は微笑んだ。 心からは笑えなかった。 否、笑えるはずがなかった・・・
−歓声が聞こえる。 祝福の言葉が掛けられる。
『私、幸せだよ』
−ああ、最悪。 偽りの愛なんて要らないの。
隣では、満面の笑みを浮かべる君。 嘘偽りも無い笑顔だね。
憎たらしい・・・
大きな歓声に応えるかのように、私は愛を放り投げた。 愛を必死に受け取ろうと、両手を伸ばす野次馬達。
そんな愛、要らないよ。 その愛は偽りなのだから。
−−−*
「誓いますか?」 「勿論・・・誓います」
待って…誓いたくなんて無いよ・・・
『ち・・・誓い・・・』
早く言って! 怪しまれる前に言ってよ、早く! もう諦めたんだからっ・・・
『誓い・・ます・・・』
−−ワァアアア!
再び聞こえる歓声とほぼ同時に、私の頬には涙が伝った。
可笑しいな・・・・
トマラナイヨ・・・
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