main_11|01|17 誘惑とストロベリー(天戦)


学パロ。
これの前夜です。
18歳未満閲覧禁止。

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泥酔した彼を自室に連れ込むのは、それこそ赤子の手を捻る様に簡単だった。
ベッドに押し倒しても抵抗の一つもない。彼はただ不思議そうな表情でこちらを見るだけだった。赤く染まった肌に、潤んだ瞳、酒気を帯びた吐息。彼は誰の目から見ても明らかなくらい、酔っている。まともな判断力も残らないくらいに。それを十分に分かっていながら、自分はこれから彼を犯すのだ。卑怯だろうか。きっと褒められたことじゃない。

だから、なんだというのか。


「…天草先生?」


呼ぶ声は、舌がうまく回らないのか子供の様な声音だった。

―――もともと自分に、そんな趣味は無い筈だった。それがどういう事だろうか。彼の事ばかりは、普段から気になって仕方がなかった。無論、そういう意味でだ。
罪悪感は少しある。だがそれ以上に、彼を好きにしてみたい欲求の方がずっと大きい。

一度くらいいいだろう。それに、これは強姦じゃない。現に彼は嫌がっていないのだ。厳密に言えば、これから何をされるのか分かっていないだけなのだろうが―――


「……な、に…?」


彼の着ているシャツのボタンを、一つずつ丁寧に外していく。不思議そうなままの瞳が、何をしているのかと問うてくる。天草は微笑んで見せて、そして手は休めなかった。


「大丈夫ですよ。いい事をするだけですからね」
「…いい事?」
「そう、いい事」


彼は抵抗しない。ぼうっと呆けたように、此方を見ているだけだ。それをいい事に天草は戦人の胸元を舐めた。熱い体が身動ぎする。


「ん、くすぐった、い…」


甘えるような声。ああ、この人はこんな声も出すのか。普段からは想像できない。可愛い、と思う。成人男性に向ける感想としては些かおかしいものだったが、それでもだ。
彼のベルトに手を掛ける。抵抗は、やはりない。








「あっ、あ、んぁ、はぁ、や、…っふ、んぁあ…!」


繋がった所が熱い。彼の体温は、アルコールのせいなのか随分と高かった。
切なげな悲鳴を上げながら、ぎゅうと抱きしめてくる。体内も同じように締め付けてくる。可愛くて堪らなかった。素直に応える様は、まるで娼婦のようだ。

腰を動かすと、彼が高い声を上げる。少し前に彼の中に吐き出した自分のものや何やらが、卑猥に水音を立てていた。聴覚に視覚、様々な感覚が興奮を煽る。


「っ、あぁ、ん、――っはぁ、あ、ぁ…せんせ、あっ、あ」
「―――、はい…何です?」
「おれ、もう、っんん…!、出る、出ます、っう、…」
「いいですよ、出して――」


戦人は白い喉元を見せながら、一際高く声を上げて達した。自分と同じ現象を見て、彼が同性だということを天草はぼんやりと思い出した。いつのまにか、気にならなくなっていたのだから恐ろしい。男を抱く事には勿論嫌悪感がある。でも、相手が彼となると別だった。男は嫌だが戦人なら、むしろこちらから望むくらいだ。


「は、はぁ、っふ…あまくさ、せんせい」
「はい…?」
「…もういっかい、したい、です」


舌足らずな声が誘う。腹の底が、ぞくりと震えた様な気がした。
一夜だけ、一度だけ、ほんの少しのお遊びと、好奇心。それだけだった筈のものが、その形を、輪郭をはっきりとさせていく。離したくない。無かったことになんてしたくない。
(あ、駄目だ)
のめり込んでいく。割り切れなくなる。


「っん―――」


誘われるようにその唇に喰らい付く。
気持ちが移ってしまうから、キスだけはしないつもりだったのに。



誘惑とストロベリー





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