main_10|11|07 ストロベリー・ストロベリー(天戦)

教師×教師パロ。
ちょっと閲覧注意です。


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眩しい。
光を感じて、ゆっくりと目を開く。辺りは明るい。朝だ。


「…うー……っ、いってぇ…?」


身体を起こそうとすると、腰に痛みが走った。下半身がだるい。…何か、激しい運動でもしただろうか。覚えは無い。


「………あれ?」


いや、待った。それ以前に昨晩の記憶がない。教師数人で飲みに行った事は覚えている。でも、それから、…どうなった?

(…どこだ、ここ)

眠っていたベッドには勿論、室内にも見覚えはない。自分の家ではない。とすると、酔いつぶれた自分を誰かが泊めてくれたのだろうか。


「…げ」


布団を捲り、戦人は漸く自分が何も身に付けていない事に気付いた。…人様の家で素っ裸。(…どういうことだ?)
どれ程泥酔しようと、そんな暴挙に出たことは今までになかったというのに。

さっぱり理解が出来ずに途方に暮れていると、部屋の扉が開いた。


「…あ、起きたんですか?」
「へ、え?あれ?…天草先生?」


部屋に入ってきたのは、天草だった。確かに昨日の面子に居た顔だった。…しかし、自分は彼とそう特別親しい訳ではない。…そんな彼が自分を泊めたのだろうか?
怪訝に思ったが、泊めてくれたのは事実だろう。ひょっとしたら酔い潰れた自分の介抱もさせてしまったかもしれない。


「あ、あの…昨日のこと覚えてないんですけど、俺、もしかして迷惑を…」
「迷惑?迷惑なんてとんでもない。…寧ろ、いい思いをさせてもらったくらいですよ」
「え?」


頭の中で警鐘が鳴り響いていた。第六感がまずいと警告している。ばらばらだったピースが、繋がり始めている。


「あー、覚えてないんでしたっけ」
「……はい」


先を聞いてはいけない気がする。聞いたら、絶対に後悔する。無かった事にするのが一番いい。頭がそう訴えている。だが何も覚えていないのだ。何も知らないまま、なんて、気持ちの悪い事はない。

ベッドに腰掛けた天草の長い指が、戦人の頬を撫でた。そこからじわりと熱を持つような錯覚を覚え、戦人は身動ぎする。痺れる様な甘い様な、不思議な感覚。


「先生、分かりません?自分の身体見て」
「…ええと……分かるような分かりたくないような…」
「腰、痛いでしょ」
「…痛い、です」


(……嘘だ)

これはどう考えても、最悪のパターンしか無い。なんなんだこの雰囲気。
(だって男同士で職場が同じってだけで、そもそも親しくすらないのに)
リセットできるなら今すぐにでもしたい。どうか嘘だと。

泣き出しそうな戦人を余所に、天草は戦人に顔を近付けて、随分楽しそうに口端を吊り上げて笑った。


「ご馳走様でした」


低いテノールが、甘みを含んで囁く。
頭痛がした。



ストロベリー・ストロベリー





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