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03



「相坂直哉くんだ。仲良くしてやれよ?じゃあ相坂、挨拶を頼む」


担任の声が聞こえた。その日の朝のショートはいつもと違った。


いつもと違って俺は机に突っ伏して寝ていて、いつもと違って転校生がクラスにやってきた。



「相坂です。よろしく」
「……、それだけか?」
「はい」
「そうか…まあいい。席は……大野!」

「はっ、はい!!」


ガタタと音を立てて立ち上がればクラス中の視線が俺に向かっていた。

そこで俺は寝ていたことに気づき、ばつが悪くなって視線を机にもっていった。


昨日は夜遅くまで隣の家の幼なじみの晋吾とゲームをして遊んでいた。そのせいで今日は寝不足だった。そのゲームは何度やっても俺が勝利して、晋吾は悔しかったのか何度も何度も俺に勝負を挑んできた。結局最後まで晋吾は俺には勝てず、気がつけば二人とも寝ていたのだった。


「ったく、大野は受験生だっていうのに気楽なもんだな!」
「や、えっと…すんません…」
「まあいい。相坂、お前はあのお気楽者の隣の席だ。感化されないようにな」
「…」


相坂は担任に小さく会釈をしてから俺の席の隣まで歩き、座った。


俺は相坂が座ったのと同時に未だに自分が立っていることに気づいた。しかし腰を下ろした瞬間、丁度ショートが終わってみんなが席を立ったものだから二度手間になってしまう。


「…」

そんな俺を相坂が横目で見ていた。


「あいさ…」


「相坂くん!どこからきたの?」
「相坂!サッカー部入んねえ!!?」

「…」

話しかけようとしたときにはもう相坂の周りは人でいっぱいだった。





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あきゅろす。
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