close to you
01(side:直哉)
なんであんなことをしてしまったんだろうか。
窓の外で降り続く雨音を聞きながらそんなことを考えていた。
授業中の教室は、みんなが黙って教師が黒板に書く言葉をうつしていた。コツコツと聞こえてくる音が、なんとなく耳障りだ。
蘇る、あいつの喘ぎ苦しむ姿。
あいつ…、大野は今日学校を休んだ。担任によると高熱が出たらしい。きっと真実だろう。なんとなくあいつは、俺に犯されたくらいで学校を休むとは思えないから。
悪かったとは思っていない。そこにお前がいたからヤった。それだけだった。
別段イライラしていたわけでもなければ、計画性があったわけでもなかった。
そう考えると、まるで頭のおかしくなった犯罪者のような思考に思わず自嘲した。
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムがなり生徒たちが喋り出した。あいさつを終えると途端に俺の周りに群がってくる奴等。
いい加減、俺の存在なんか慣れろよ。
いい加減、近寄るな。
どんなに冷たくしても、どんなにそっけなくあしらっても、奴等はまるでどMのように俺につきまとう。
「相坂〜!次生物室だぜ」
「……俺、次サボるわ」
「え?」
話しかけてきたバカにそう告げて、俺は教室をあとにした。
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