miracle world
06

side:千尋



ガララー


「あれ…なにしてんだお前ら」
「あ、真央」
「……それ、幹人?」
「ふふ、そうだよ」

教室をあけて入ってきたのは真央。サッカー部の練習はもう終わったみたいだ。


「……」
「忘れ物?」
「そんなんどうでもいいから、幹人放せば?」


普段学校では、俺と真央と幹人の三人で主に行動している。真央は幹人が高1で編入してきた当初から、幹人を好きだった。俺もそうだ。

エスカレーター式で高1になった俺たちには同性愛の偏見がまったくなかった、でも別に男としたいとかそんな風に思ったことは一度も無かったんだ。真央も偏見はないけど男と付き合いたいとは思っていなかったというのに、


「いくらお前でも、いい加減俺も頭キてんだよな…」
「はは、俺にかなうと思う?」


幹人は譲れない。


「腹黒のバリタチが…そろそろ本性教えてやれば?」

「やだね。猫かぶってる俺を好いてくれてんならそれを貫き通すまでだよ」


いつもは会長とか副会長とか教師が邪魔してくるから、自然と連帯感が生まれる俺と真央だけど、二人きりとなれば話は別。





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