miracle world
02


「真央…俺、ほんとに真央が好きだよ。俺みたいな、馬鹿で平凡でうるさくてめんどくさい奴と友達で居てくれて、ほんとに嬉しい。これからもずっと、ほんとに仲良くしてってほしいって思ってるんだ。だから、ひどいこと言ってるって思うけど、友達で居て欲しい、ずっと友達で、傍に居て欲しい。ご、ごめん、ううっ」
「泣くなよ馬鹿。いいって言ってるだろ?……友達の連呼はちょっと傷つくけど」


わしゃわしゃと頭を撫でられて、俺はとっくに涙でぐちゃぐちゃになった顔を真央の胸に押し付けて泣いた。


「うあああああんごめん真央おおおおお俺ほんっとに馬鹿で鈍感でアホで最低で最悪でごめんあああああああ!!無神経だったし、ひどいと思う!でも俺真央と友達で居るのやめたくないんだよおおおお!!イケメンでエースでエロい真央が居なくなったら俺の萌えの世界は確実に可哀想なことになるよおおおずっと傍に居て俺のために萌えの源で居て欲しいんだよおおおおお」

「…さっきと大分違うこと言ってるように聞こえんだけど、」


そう呟きつつも、真央は苦笑で俺を抱きしめて頭を撫でてくれていた。


真央はほんとは優しい。
あの日はあんな風になっちゃったけど、まあエースだからああなっちゃうこともあるよ。萌えは予測不可能だからしょうがないよ。
千尋総受け計画には必要不可欠な存在だと思ってた真央。
まさか俺に好意を持ってくれてたなんて、思いもしなかったけど、でも、今俺がこうやって振ったことによって、もしかしたら千尋を好きになるかもしれないし……おおっとなんて最低な考え!じゅるりと垂れそうになったよだれを拭う。

「何考えてんだよ」
「や、何も!!ええと、ああああの、真央、いいにおいだなって」

嘘じゃなくて、これはほんとだ。真央に抱きついているこの状況、俺は真央のフェロモンに大分当てられていた。だから腐の思考が暴走しちゃってもしょうがないことなんだよ。

「さっきも言ったけど、諦めるつもりはねえからな」

「んっ!?」

そう言って真央に唇にキスを落とされて、俺の顔は林檎みたいに真っ赤になった。

「な、な、な!!」
「人生初の振られちゃった記念に、最後くらいいいだろ?」
「…、なんていうか、ほんと、エース…どうして俺なんか」
「未知の世界に手を伸ばしたくなるのは人間の本能だと思うだろ?」
「ん?え?俺未知?え、なんで?」
「…はあ、ま、わかんねえならいいけどさ」


こうして、俺はエースを、あのエースを、振らせていただいたのである。





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あきゅろす。
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