miracle world
01


「で、どうした幹人。こんなとこに呼び出して」

「わ!び、ビビった…後ろからいきなりは驚くよ、真央」
「悪い悪い、で?」


放課後、俺は真央を空き教室に呼び出した。今日放課後の部活は休みだと聞いていたから、今日しかないと思った。


「あ、のさ…」


自然と、うつむきながら俺は拳を握りしめた。


「あの…」
「もしかして、返事?」
「、」
「しかも、その様子だと、あんまりいい返事は期待できないみたいだな」


真央の手が俺の顎に手を添えられて、顔を上に向かされる。
そこには悲しそうな表情で無理矢理に笑う真央がいた。

あの日から、別に避けたとかそういったことはなかったけど、俺も真央もなんとなくお互いを意識してた。そわそわしてて、前みたいな普通な感じじゃなかった。時々からかってくる真央に顔を赤らめたり、本気で逃げ出したくなったり。


「…ごめん」
「いいよ、まあ、ほんとのこと言うと分かってたし」
「え?」
「諦める気、ねえから」
「ええ?」
「毎日幹人見てりゃ分かるよ、俺のこと意識はしてくれてたけど、戸惑ってるだけだなってさ」
「でも、俺、真央とはこれからも仲良くしていきたいって思うんだけど…」
「そんな顔で見るなよ、当たり前だろ?」



人を振るだなんて平凡な俺には決してあり得ないことだと思ってた。だからどうやったら傷つけないで振ることが出来るのかを散々悩んだ。でも、結局そんなの思いつかなかった。ただ、必死に思いを伝えて、好きだけど、そういう意味で好きにはなれないって、真剣に言えば相手が分かってくれるんじゃないかと思って、それだけ頑張ろうと思った。




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