miracle world
02
ダダダダッと勢いよく、しかし音は控えめ(のつもり)で階段を駆け上がり、俺は途中にある倉庫の存在に気づかぬまま屋上の扉を開けた。
しかし、そこにさっきの二人は居らず、
居たのは、俺が子供の姿になってしまったときに初対面した書記の和泉隆志先輩だった。
似非鬼畜眼鏡和泉隆志…。
折角の書記なのに寡黙でも鬼畜眼鏡敬語キャラでもない和泉隆志は、一種の天敵(王道的な意味で)だと俺は踏んでいる。
彼は貯水タンクの台の下らへんの壁に寄りかかって、眼鏡を外して目を瞑っていた。
ま、まあ、顔は美形だからなっっ!!認めてやらんでもない!!
折角だし携帯に一枚くらいおさめさせてもらってもバチは当たらないんじゃないだろうか。だって折角の書記というポジションを今までに例を見ない性格でぶち壊してくれちゃってるんだし!!!
俺は抜き足差し足で彼に忍び寄り、おもむろに携帯を取り出した…。
「アアアアアアアアアアアアアアアッーーー!!」
「…ぁあ?」
「さっきの二人のこと忘れてたあああアアアアアアアア!!!」
「……つか、お前誰」
………
「アアアアアアアアアアアアア!!!」
気づかれたアアアア俺の馬鹿アアアアアアアアア!!
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