far memory
08
「う、お前もう、俺の部屋出入り禁止だ!ひっく、」
「イタイイタイ、髪の毛引っ張んなよー」
「うっせえ死ねヤリちんクソ男!!」
胸が異常にもやもやしてるのは、俺の部屋でヤられていたからってだけではないような気がする。
半裸で、半分ズボンが脱げてる状態の楽の髪の毛を引っ張り、無理やりベッドから落とした。酒のせいで手加減なんてものができない俺は一心不乱だった。
ドタッとフローリングの上に落とされた楽は無防備な表情で俺をじーっと見つめている。むかついたのでその顔を踏んでやろうと足を向けると、引っ張られて俺は楽の上に覆いかぶさるようになった
「おい、は、なせっ」
「やだ」
ぎゅっと包み込まれた体が、酒とか、楽の体温のせいでどんどん熱くなっている。
「ふざけんな、死ね」
「やだ」
俺が言葉を発するたびに甘い声でやだ、と駄々をこね抱きしめる力を強める楽はまるでおもちゃを放さない子供のようだった。
「っく、あ」
何故か、唐突に俺の胸元に進入してきた楽の手が俺の乳首を撫で回した。
俺は変な声が出て、その瞬間に我に返って思いっきり楽の頬っぺたを殴りつけた。
とはいっても、体に力が入らないから威力があったのかは謎だ
それは楽にとって予想外だったようだ
「い、ってえ」
「死ね!意味、わかんねえ!」
怯んで拘束力のなくなった楽の腕からはすんなり抜けることができた。俺は立ち上がって、そしたらさっきの美少年が安らかな顔で俺のベッドに寝ているのが見えて、言いようのない怒りが沸き立った。
「もう、お前の顔なんか見たくねえ……!」
自分の部屋なのに、俺の居場所はなかった。
無我夢中で階段を駆け下りて、外に飛び出した。
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