中編
07
「…許してくれた?」

返事は涙のせいでできなかったから先輩の胸に頭を押し付けたまま首を左右に振った。


「んー…」

先輩の指がぐいっとあたしの顎を上げて、唇と唇がくっついた。抵抗はめんどくさかったからしなかった。


「みずほがだいすき」
「うん」
「いちばんすき」
「…うん」
「みずほいないと死んじゃう」
「……」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、先輩ってこんなに力強かったんだって改めて実感した。

見詰め合ったら、先輩があたしの目の淵を舐め出して体がビクついた。ぺろぺろとまるで猫か犬みたいに、でも動物みたいに乱暴じゃなくて、すごく優しくて、気持ちが良かった。


「あのね、この前のすいようびね、集まってた子たちにみずほのこといっぱい聞いたんだよ」
「…あたしのこと?」
「うん。名前はねー…えっと、やねちゃんと苺ちゃんとはるかちゃん?」
「……」


先輩、多分それやねじゃなくてねねです。本人が聞いたら怒りますよ。


あいつら…


「みずほがあたしと付き合ったって聞いて、三人とも心配だったんだって。それで、みずほが今日は生徒会室行くからって行った日が丁度水曜日だったらから」
「…はい」
「みずほのおっぱい柔らかくてきもちいですよねーって言われたときは思わずビンタしちゃったけど、みんないい子たちだね」


言ったのは絶対村上だ、間違いない。






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あきゅろす。
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