中編
05



夜、俺は仕事を終えて帰宅した。


帰宅、といってもそこは俺の家であって俺の家でない。

なんていうか、もうひとつの、家みたいな居場所。



「ゆう、こっち」


手のひらをひらひらとちらつかせて俺をソファへ誘い込むその人は、社長。


おれは黙ってそれに引き寄せられて、大人しくそこに座る。


社長を見れば、俺を見ている。見詰め合うと始まったのは、社長曰く「一緒に死のう」の本番。社長はホモとかゲイとかバイとかが大嫌いだ。

だから、こういうことを俺とする前は必ず「一緒に死のう」って言う。


ホモとかゲイとかバイの奴等にとんでもなく失礼だと思う。


けど勿論そんなどうでもいいこと言わない。


社長はキスが上手い。くちゅくちゅと卑猥な音を立てる深くて甘いキス。気がつけば社長も俺も見事に勃起してて、違和感なくいつの間にか俺のベルトは緩められていた。

隙間から入り込んできた手に今更抗うこともしないで、俺はもっと、もっとと相手を求めた。


社長はホモもゲイもバイも大嫌いなのに、俺のことはいつも大好きだって言ってよく笑う。

そんな社長のことを俺は、嫌いじゃない。







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