エレジーコレクション
参
†††
胡座をかけば、当然のように膝の上で丸くなった。
青灰色の隻眼が我を見上げ、ごろごろと喉を鳴らす。
頭をひと撫ですれば、気持ち良さそうに隻眼を細め…自ら頭を擦り付けた。
紫の紐で結わえた鈴が、りんと鳴る。
かつては、汚れて灰色だった身体は…今では白銀に輝き、絹のような上質な手触りで、我を楽しませておった。
しかし…よう育ったものよ。
…重い…。
足が痺れるではないか…。
あの日…死にかけていた仔猫とは到底思えぬわ…。
「……のう……紫……」
「んにゃあ…?」
今年もあやつは現れない。
そして…我はまた、こやつに面影を重ねる…。
「…貴様は、我を選んだ…。そうであろう?」
長曾我部…。
「…にゃ」
綺麗に微笑んだ。
†おかえり、紫の君・終†
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