エレジーコレクション
5.智将
元就はいつでも、冷静沈着だ。
頭の回転が速く、相手の何手も先を読む事を得意とする。
その能力の高さは、現世の元就も同じだった。
…さすが智将。
転校手続きも手早く済ませ、俺は新しい小学校へ通うことになる。
幼稚園から大学までエスカレーターな、巨大私立学園だ……うわぁ……。
学問だけでなく、芸能芸術スポーツ経済学など手広く力を入れている。
田舎モンの俺が通うような学校じゃない、うん、ひとまずタスケテモトナリ…!
…ただでさえ、日本人なのに両の眼は薄い青灰色だし髪色はアレだし…田舎よりも多くの人間がいるんだろ……さらし者決定だ。
嗚呼、コワイコワイ…都会コワイ…。
……コンプレックス、だな。
何処まで俺を前世と同じ姿にさせたいんだ、神様はよぅ…。
…そういえば、元就はあの頃よりも背が高くなったよな…。
今では、スーツの似合う立派な青年だ。
…………格好いいんだよなぁ〜、元就……。
狐みたいな顔に、表情はあまり出ないけど…あの氷のような面は薄れたみたい。
…この世で出会った元就は、優しい顔を見せてくれる……って言っても、ほんの少しの表情の変化なんだけど…。
それだけでも、嬉しいよな…!
…………正直、モテるだろ元就。
この、エロ狐!
…って言ったら、俺を見下し『我にどうされたいのだ、姫よ』だって……。
……元就にケンカ売っちゃだめ……その先にあるのは、絶望……。
なんて言うのはちょっと大袈裟だけど……女の子の着物を着飾された事は、言うまでもない……。
さすが智将、用意周到。
…俺達は、何処までも未練たらしい…。
「転校生を紹介する――入って来い」
「……」
朝のHR……先生の合図で、教室に入る……。
「……Ha! 白髪だぜ、シラガー! ヒャハハッ」
「!!!」
黒い眼帯の男の子が、笑ってた。
「っ!!」
「気味悪ぃなぁ〜。妖怪砂かけババアだ。成実、後でcoolに妖怪退治と行こうぜ〜」
「えぇ〜? マジで〜?!」
「こらっ! 伊達コンビ、静かに!! 家に帰ったらモンハンでもやってなさい!」
「や〜だね〜!」
嗚呼……。
若い政宗……
見つけた……っ。
独眼竜は、この世でも独眼竜なんだな…。
現世の政宗が、どうして隻眼になったのかはわからない……けど、魂の宿命ってヤツなのだろうか…?
……とりあえず、そう言うことにしておこう、うん。
こうして俺は、政宗と再び巡り逢う…。
……知ってたんだろ、元就。
だから、この学校を選んだんだろ。
…さすが智将…相変わらずの切れ者っぷりだ…。
……逢わせてくれて、ありがと。
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