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エレジーコレクション
4.マンション

ひとめ見て分かる、超高級マンション。

不安と期待で心臓がドキドキして、いつの間にか隣の元就の手をぎゅっと握っていた。

「何も恐れる事はない。……我がついている」
「……」

心を、見透かされた…。
俺の住んでたところには、こんなに大きなマンションなんか無かった…。
はい、田舎モンですから、はい。
…元就って、本当に資産家の息子だったんだな。




…広〜い部屋…。

手を繋いだまま、奥の部屋の前へ連れて来られた。

「我が息抜きに使っていた部屋だ。此処を使え。家具もある…」

そう言いながら、元就はドアを開けた。




……そこは、掛け軸や立派な和箪笥、脚の短い机等…家具は昔ながらの木製のもので統一されていた。

…此処だけ、懐かしい匂いがしたんだ。
元就にとっても、特別な大切な空間だったに違いない…。

和箪笥を開けた元就は、何かを取り出した。

「元親。部屋ではこれを着てくつろぐといい」
「…?!」

……着物?!
しかも、俺用のサイズ…。
いつの間に拵えたのだろう…。
他にも何着か入ってるって、おいおい…。

「好きなものを着ろ。また後で用意させる故…今は此処にあるもので耐えてくれぬか、元親……」

さすが資産家……金銭感覚がおかしい。
…けど、元就が優しく微笑むのを見てしまったから…つっこむタイミング逃がしたし。




元就……。

ありがと。

俺のために、いろいろ尽くしてくれて…。










元就は、俺の想い……政宗への想いと、俺が元就の想いには応えられないという事を知っている。
それなのに、イヤな顔も見せず世話を焼いてくれるんだ。

…酷い俺でごめん、元就…。

ありがと……。




…………大好き。










新しい土地、新しい環境での生活が始まる……。
俺はまだ、想い人に出会えていない。










……鳥さんになってたら、どうしよう……。

そんな事を考えてしまう俺は、やっぱり小6の餓鬼だった。






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