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エレジーコレクション
3.小6

小6の頃……。
それは、突然起こった。

生まれ育った四国から、俺は上京することになる。




そのきっかけは皮肉にも、両親の事故死によるものだった……。










中学生の姉とまだ小さい弟達は、地元の叔父に引き取られた。

そして俺は…長曾我部家と古い付き合いの毛利家が後見人となり、育ててもらうことになったんだ。

「……元親……」

遠い過去からの、聞き親しんだ声。
俺の面倒を見ると、両家に働き掛けてくれた青年。

「っ……もとなり……っっ」

俺は、スーツ姿の彼にしがみついて泣いていた。
両親が死んだ時でも葬式でも泣かなかったのに。

久し振りに会って、いろいろな感情が一気に溢れ出したのだろう。
みっともなく、わんわん声を上げて泣いてた俺は、まるで餓鬼。
…なだめるように、俺の髪を撫でる元就…。
いつも冷静沈着で、10年以上も先に生まれた大人な元就が……ちょっと羨ましかった。










「我等は互いを知り尽くしている。…故に、共に居ることが望ましい…」

そう、元就は言った。

彼も前世の記憶が残っている。
だから、ふたりの時だけは素でいられるんだ…。










前世の未練を現世に引きずりながら、俺達は今を生きている。






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あきゅろす。
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