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エレジーコレクション
13.野望

妖怪ブスチカが休んでから
5日目――










「Ahー? 今日も来ねえだと? ……Ha! いじめ甲斐がねえな……!」
「そんなに気になるならさ、オレが訊いてきてやるよ、政宗!」
「Σ! 気になってねぇー――っ!!」




「前田先生ーっ!」
「ん? どうした成実、質問か?」
「あの銀色の…まだ治んねーの? ……政宗にちょっかい出されたせいで登校拒否ってる……とか?」
「拒否じゃないぞ。元々身体が弱いらしくてな。……御両親を亡くされた後だし、引越してきてまだ間もないし……。一気に疲れが出ちゃたんだろう……」




Ah…?
今、なんて言った……?




「……両親、死んじゃったの……?」




…………!




「あぁ……。事故に巻き込まれたらしくてな……」
「へー―…」




…初耳だ…。
前田の奴……隠してたな?!




ま、まあ……
俺には関係ねーし…!
そうだ……関係ねえ…っ!




「色々辛いだろう……。確かおまえ達、仲良くしてくれてたよな?」
「Σえっ? ああ〜、政宗が…超〜心配しててさアハハ」




してねぇー――っ!
勝手なこと言ってんじゃねーぞ、成実…!!

……後で覚えてろよ……!




「ふたりで、力になってやってくれないか。不安なことも、たくさんあるだろうからな。頼んだぞ、伊達コンビ!」




なに頼まれてんだよっ、大馬鹿野郎〜〜っ!!!

俺はまだ、野望を…妖怪ブスチカ泣かせを、達成させてねえんだぞォォー――っ?!
なんで、泣かせる相手の力になってやらなきゃならねえんだよっ!










小十郎も前田も…
成実もブスチカも……

どいつもこいつも
余計なお世話だっ!!!




「政宗〜」
「〜〜っ…Go to hell!!!」
「Σ?! ヒッデ〜〜ッ!」




もうぜってー

何がなんでも……




泣かす……!




軟弱チカヤローッ!!












「政宗様。今度の休日こそ、選びに行きますぞ」
「Σ!!」

小十郎……しつけえぇっ!!!




……俺が、アイツのために
ハンカチを選ぶ……




……か、考えただけでも
恥ずかし過ぎんだろォォッ!
あんな……軟弱な女みてーなヤツによお!
ありえねぇー――っ!

なんで俺が
なんで俺が!
なんで俺がぁ…ッ!!!










……Ah〜




こうなったら……




貰われても嬉しくないような変〜なハンカチにしてやる!




名案だ……!
クックック……!




「……政宗様」
「Σ…Ah…?」

「最終決断は、恐れながらこの小十郎が致します」

「ΣWhat?!!」




だったら最初から小十郎が選べよっ?!


…なんだよ…

なんなんだよ…っ!


あああああ〜っっっ
もう〜〜〜…っ!




「っ…勝手にしろっっ!」
「お任せあれ…!!」
「…………」




……なんでそんなに意気揚々としてんだよ、小十郎……
相手はただの、小6の…男子だぜ……?
女みてーなツラだけど…。




…………。




小十郎……まさか……

今まで彼女作らなかった理由は……アレか……?




…まさかの、美少年好き?!!




「こっ小十郎……。犯罪だけは、起こしてくれるなよ…」
「? 当然です。ハンカチを選ぶのに、何故犯罪を犯さねばならぬのです」
「いや…そうじゃなくてよ……」
「……?」




……小十郎の893顔を間近で見たら……
きっと、あの軟弱チカヤロー、泣いてちびっちまうだろうな!




……そうなったら……?




アイツの弱みを握れる…?!
いじめるネタが増えるじゃねぇか!




「小十郎っ!」
「なんでしょう?」
「ちょっとなら、犯罪起こしても構わねーぜ?」
「Σ?! ま、政宗様?! ご自分が何をおっしゃっているのか…おわかりで……!?」
「Yeah!」
「Σ?! なりません! なりませんぞ、政宗様っ!!」
「No problem! 見なかった事にしといてやるぜ。存分に泣かせな!!!」
「ΣΣΣ!!! 何故、店員を泣かねばならぬのですか…?! 非道ですぞ、政宗様…!!!」




クックック……!




楽しみがひとつ増えたぜ…!






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