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エレジーコレクション
12.おやすみ

「元親…………」




昨日……

会社から帰れば、愛しの姫は床で身体を丸め、寝息を立てていた……。












「元親……。寝るなら布団へ入らぬか…。風邪を引くぞ」

小さな肩を軽く揺すってみる……が、起きる素振りは見せない。
どうやら、深い眠りについているようだ。

仕方ない…。

抱き上げれば軽い身体に、少し熱い体温…。

「……」

ベッドへ寝かせてから、元親の額に手を当ててみる。




嗚呼……やはり熱を……。




いつもは透き通るような白い肌が、その日はほんのり赤く色付いていた……。












今も、高熱により顔が赤味を帯びている。




……こやつが元々病弱な体質であったことを、忘れていた訳ではない。
部屋の温度も湿度も、完璧だったはず……。

なのに、元親は熱を出してしまった。

我の何処に落ち度があったと言うのだ……?




環境が一変したことで、元親の虚弱な身体に負担がかかったことも、原因のひとつ…か……。










元親を連れて行けることが
共に居られることが…
嬉しかったのだ、我は……。

共に暮らし始めて、一週間ほど……。

必ず我のもとへ帰ってくる元親に、我は安心し過ぎていたのだろう。




浮かれていたのやも知れぬ。




そのせいで……元親の体調の変化に気付かなかったのだな……。




「許せ、元親……」










今は何も考えず

休むが良い……










おやすみ…




愛しの姫君……






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