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残月
第1章・永遠の恋6-2
「土佐の坂本龍馬・中岡慎太郎に会いに行った」
反応を示さない斎藤には構わず藤堂は続ける。

「その隠れ家に、りょうがいたんだ」
りょう−才谷亮祐、それは斎藤と藤堂を繋ぐ唯一の名であった。

「りょう」

斎藤の口から彼の人の名がもれる。すると心の奥底がキュウと締め付けられる気がした。
その痛みに斎藤は胸をおさえる。

「坂本の近くは危ない。あの男は……狙われすぎている」

土佐の坂本龍馬、その男の名は新撰組にいた頃から有名であった。


なぜそんな男といっしょにいるのだろう、斎藤はわからなかった。

「斎藤、りょうを亮祐をまもってやってくれ」
藤堂が思いつめたように斎藤の両肩をつかむ。
「伊東先生はダメだ……自らの名を売ることしか考えていない」

北辰一刀流、その伊東の門下生だった藤堂。師弟関係が苦楽を共にしてきた新撰組を捨てさせたというのに。何を言っているのだろうと斎藤は顔を上げた。
「俺はもう戻れない」
斎藤と目があった藤堂は自虐的な笑みをうかべる。

「お前は違う、そうだろ?」



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