ハピネス -12- 「洋平、お前んとこの親父さん帰ってきてんだな」 と、大楠に言われた。 「昨夜(きのう)よ、パチンコ屋で見かけたんだよ。どっかのヤッちゃんの幹部みてえなんだよな。お前の親父って」 どこでも目立っている彼に気分はとってもクールダウンだ。 「んでも羨ましいよな。俺んとこの親父なんてよ、爺くせえのってよ」 「そうかぁ」 脱力感でまともに返事も返せやしない。 「せいぜい親孝行しろよ」 肩を叩かれる。 「へいへい」 次の授業開始のチャイムが鳴り、大楠は自分の教室に戻っていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |