非日常が日常です(完結) 7*微 「これここの本じゃねえな」 「は」 きっと今とてつもなく間抜け面をしているに違いないと平田は思う。 だってそうだろう、図書室で借りた本を返しに来たのに「図書室の本ではない」と言われたのだ。 「でも」と続けようとする平田を一瞥もせず、司書はトントンと本の背表紙を指で叩く。 「ここに図書室のラベルが無い。だからここで管理してるもんじゃねえ、大方家の本と取り間違えたんだろ。手煩わせてないで次正しいの持ってこいよ」 ぽいっと投げるように本を返される。 「あ、はい。すんません」 ――何で俺が謝んなきゃなんねーんだよっ!!いっつも一言多いムカつく野郎だな! なんて口が裂けても言えません。だって怖い。 いつか天罰でも落ちろとばかりに睨む(やっぱり怖いから心の中の瞳で)平田だったが、司書の顔を盗み見て朝考えていた実験のことを思いだした。 学校で一番上背のある強面の彼だが、よく見ればイケメンと言える顔をしている。 平田はにや、と笑ってポケットのプレイヤーのスイッチを入れた。小型スピーカーを差し込んで周りにも聴こえるようにはしているが、ここは図書室なのですぐ気付かれて怒られないよう微かに聴こえる程度にする。 案の定司書は違和感を感じたものの気のせいかと首を傾げるだけだ。 そして数秒経つと受付で整理をしていた司書の手が止まった。 「何、平田こんなとこであれ流して」 この空間で平田以外に唯一かからない大崎が話し掛ける。隣にいる木下はすでに動いていない。 「木下にいろいろしてみたいんだけどあんま知識無いからさ、ちょっと実験しようと思って」 「実験?」 「そ、おい司書……えーと名前は大熊か」 「はい」 司書の名前を知らなかった平田がネームプレートを見て呼ぶ。大熊は素直にこちらへ向きを変えた。 「ここにはもう誰もいないか」 「はい、もう閉める時間なので図書委員も誰もいません」 「そういえばあと五分で図書室終わりだったな。ドアに終わりのプレート掛けて中から鍵掛けとけ」 「はい」 ぼーっとした様子でのろのろと大熊が作業してまた戻ってくる。 「大熊彼女はいるのか?」 「いません」 「セックスの経験人数は?」 「二人です」 「女か」 「はい」 「ま、そりゃそうか。野原みたいなのがごろごろいるわけねーもんな」 「じゃー本題。大熊、木下修也を犯せ」 「はい」 「は!?平田何言ってんだよ!」 平田の命令に大崎が慌てる。大崎が木下に懐いているのは知っていたので反対すると思っていたが、こうして真横でぎゃーぎゃー言われると正直ウザい。 だが大崎を催眠にかけることは出来ないため、仕方なく説得にまわった。 「あのさ、木下にいろいろしてみたいじゃん。大崎だってそうだろ?」 「え、でも可哀想」 「俺たちだけしか見られない顔いっぱい見られるんだぜ」 「俺たちだけ……」 「そそ、だけど知識無くて何も出来なかったらつまんないから、こうして勉強するだけ」 「うー、修ちゃんもここのことは覚えてないし、いいのかなぁ」 悩みだす大崎は放っておいて大熊と木下の方に視線を変えた。 「大熊、服汚れたらまずいからちゃんと脱がせてやれ」 「はい」 大熊は言われた通り、木下のシャツのボタンを外し下は全部脱がせてカウンターに載せた。次に自分も同じように脱いだのだが、想像以上の光景に平田達はぎょっとする。 「げえ!大熊何だあれ」 「ちんこでけぇ……修ちゃん壊れないか?」 「初めてだもんな、大熊ちゃんと挿れやすいようにしてやれよ」 「はい」 [*前へ][次へ#] [戻る] |