非日常が日常です(完結)
9(完結)
「あっあ……んっ」
「ふっ……もう、イク?」
「イク、イク……!」
性欲全開の二人を相手にした修也がついに限界を迎え、ベッドに倒れ込み荒い息を出しながら四肢を投げ出す。
虚ろながらも瞳は開いているため、ぎりぎりトんではいないらしい。
狭いベッドに修也と大崎が寝転がり、平田はベッドに腰掛けて息を整える。
「あ……時間! 修也片付け……は俺がやる」
「分かった、ありがと」
「何、珍し」
「うっせ」
時計が催眠がとける十分前を差していて慌てて片づけを命令しようとしたが、気分が変わり自分ですることにした。
大崎がからかってくるが構わない。今はそんな気分なのだ。
意外にもてきぱき動き出す平田を横目で見ながら、大崎は修也の手伝いをし、綺麗になった室内でおもむろにゲーム機を取り出した。
平田が目を丸くする。
「何、今からゲームすんの?」
「そ、修ちゃんと家にいるとさ。遊びどころじゃなかったじゃん。だから久々に友だちしようと思って」
「あ……なるほどね」
「だって友だちだろ?」
「まあそうだけど。俺は別に違くてもいいけど」
「はあああ!?」
平田の呟きに過剰に反応する。
「お前修ちゃんのことそういう意味で好きじゃなかっただろ!」
「ちげーよ! 好きじゃねーよ! 違くないけどちげーよ!」
「どっちだようぜー! 修ちゃんは俺たちのだけど、いずれは俺がもらうんだから」
「はああ? 生意気なこと言ってんじゃねー!」
「二人とも怒ってないでゲームやろうよ」
「「修也(修ちゃん)!!」」
いつの間にか修也は元に戻っていて(といっても、今回の催眠は元々の性格を反映させたままなので戻ったという表現も少々的外れではある)、いきなり喧嘩し出して二人を宥める。
「修ちゃん、俺の事好きだよね?」
「俺だよな? な? な?」
つめよられても原因が分からないため、首を傾げるしかない。
「? どうしたんだ? 二人とも好きだぞ? とりあえずゲーム始めようよ、俺まだこれクリアしてないんだよね」
「おーし! じゃあ、これで買った方が次の主導権握るってことで」
「ずりぃ! でも、得意なんだよね、待ってて修ちゃん! 頑張るから」
「おー、俺も負けない!」
軽快なオープニングが鳴り出し臨戦態勢に入る三人。
修也が誰と結ばれるのか、はたまた誰とも結ばれないのかはまだ誰にも分からない。
分かることは、この空間が今一番の幸せというだけだった。
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