[携帯モード] [URL送信]

非日常が日常です(完結)
6



「ま、昔話はこれくらいで。面白くも何ともないでしょ」

「お前がいかにヤバイ奴かってことしか分からなかった」

一気に気が抜けて平田がその場に寝転がる。
横を向いてみれば、平和そうな顔で会話が頭に入ってこないことがありありと分かる修也が見て取れた。

おかしな話でも不思議に思わない命令をされている彼は、一体どんな内容として頭で処理されているのだろう。


「修ちゃん、大丈夫?」

大崎も気になったのか、修也に問いかける。修也は尋ねられている理由が分からないのか首を傾げて笑顔で答えた。

「ん? 楽しそうな話だったな」
「楽し……うん、そうだね」

「あ、せっかく修也君いるし俺とエッチしようか」

「は?」

頭のネジが落ち切った言動をしたのが田村、反論したのが平田だ。
ここは他人の家で、しかももう修也に自分たち以外を触れさせたくない。

田村から切り離すように、平田と大崎が間に割り込んだ。

それを見て、他人事よろしく口笛を吹く。

「ひゅぅ! やるね、お二人さん。そんなに修也君が可愛いんだ?」
「可愛いっつうか、友だちが変な目に遭わされそうになったら助けるだろ」
「へえ……友だち、ね」

にやにやとした嫌な笑みを崩さない田村に思わず舌打ちをする。

イライラが治まらず、思わず目の前の憎い相手を殴りつけてしまいそうだ。

――いや、いっそ殴ってよくね? こいつ年上っつっても失礼過ぎだろ。


危ない考えがよぎった頃、ちょうど藤堂が戻ってきた。

「智君おまたせ! ごめんな、飲み物切らしてて。待ったか?」
「待ってない。もう帰る」
「飲み物だけでも飲んでったらいいじゃないか。そこの生徒さんたちも」
「有難う御座います」
「うわ、藤堂さんめっちゃ良い人じゃん。田村付き合っちゃえよ」
「そうだよ、先生にお似合いだよ」
「マジふざけないでほんと危ないから俺どうなるか分からないから」

藤堂が購入したジュースを放り投げ、三人が頭を下げる。
田村にあれこれされておかしな人格になったそうだが、初対面からしたら男らしい大人だと思う。

ただし、最初の恰好には度肝を抜かれたが。






さすがに藤堂の前で修也に変な真似をしたら泥沼な状況に陥る気がして、田村が手を出せないまま帰り支度となった。

「あざっす! 藤堂さん」

「いやいや、智君の生徒さんなら俺の生徒みたいなもんだし」

「違うし」

文句を言いながら田村も靴を履き部屋を後にする。

「もしかして、藤堂さんがいれば田村が修也にちょっかい出すことも無くなったりして」

「確かに。いいねぇ、今度先生と会ったら藤堂さんに来てもらおう」

「藤堂さん良い人だったな。それで、エッチはいつすんの?」

「エ……エッチ!?」

突然の修也の爆弾発言に平田と大崎が慄いた。



[*前へ][次へ#]

6/9ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!