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非日常が日常です(完結)
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この時、ようやく田村は言葉を選び間違えたことに気が付いた。

「親友」と一言言えばよかったところを「好きで好きでたまらなくなる」では、恋愛感情と受け取られても仕方がない。
つまり、藤堂は田村をどうにかしてしまいたくなるくらい好きになったのだ。

『あああ、失敗した……』
『どうした! どこか具合でも悪いのか』
『悪いのは藤堂だろ。明らかにおかしいよ、変な命令は拒否してよ……』

今更言っても遅い。もしかしたら、素直に加えて本当に藤堂は心のどこかで田村を特別に思っていたのかもしれない。
いや、きっとそうなのだろう。自分自身でも気が付かない間に田村を求めていたのだ。

さすがに懲りた田村は藤堂に命令をしなくなり、今までの命令も取り消すことにした。

『今までの命令は取り消し。通常の状態に戻った時には全て忘れている』

『はい』

返事をしたことでほっとした田村だったが、目が覚めた時にぎょっとすることになる。

『あれ……俺はここで何をしていたんだ』
『ああ、忘れ物したとかで教室戻ってきたんだよ。帰ろう』
『……お、おう』

――あれ?

返事をしたはずなのに、何故かいつまで経っても藤堂からの田村好き好きオーラが消えることはなかった。
確認したところ、好きな気持ち以外は「オナニー好き」「ドМ」などは無くなったようだが、一番消えてほしかった情報だけが残っている。


素直さを全面に押し出した藤堂はすごかった。

毎日家で待ち伏せをし、田村が好きだと聞けば菓子作りをする始末。

せっかく命令で消したはずの「エプロンをして料理」も、藤堂自身の意思で復活してしまった。

結局大学まで付いてこられるはめになり、幼馴染ということで大した拒否も出来ず、何とか幼馴染からの関係から逸脱することなく今に至る。







「マジでどうなったのか。今は自分で勝手に性癖作り出すし怖いのなんのって」

「いや、でもきっかけ作ったのはあんただし」

「でもさ、ちゃんと俺は元に戻したんだよ? 藤堂ってバカ力だから、いつか襲われそうで」

「もういっそ襲われてしまえ!」

思わずツッコんでしまったが、隣の大崎もうんうん頷いている。
恋愛感情を持っていない相手にややこしい命令をするのが悪い。

つまりは、特別な相手になら命令してしまうことも致し方ない訳で……。

そう思ったところで、平田は自分の考えに違和感を感じたが原因は分からず首を捻るばかりだった。

――なんだ? 好きな相手に思っちゃうなら変なことじゃないよな。



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