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非日常が日常です(完結)
5



「修也君!」
「なあに? お兄ちゃん、修也のこと知ってるの?」
「うん、知ってる知ってるよ。大丈夫、俺に付いてくれば安心だからね」

全く安心出来ない。

しかし、不安の中にいる修也は満面の笑みで野原の手を握った。
夢にまで見た修也との触れ合いに、一部が熱くなりそうになりながら必死に平静を装って問いかける。

「不安だったら、元気になるおまじないしよっか?」

「おまじない? する!」

小さな子どもは、自分の知らないことをするのが好きだ。
新しいおもちゃに新しい知識、とにかく好奇心旺盛で、修也もそれに当てはまるため野原の誘いにほいほい乗ってしまう。

上手くいっている状況に、野原の行動も大胆になる。

「じゃあ、目を瞑ってごらん」
「ん、こう?」
「そうそう、上手だね……はあっ」

息が荒くなるのも無理はない。何せ修也の顔が間近にあるのだ。
しかも、目を瞑ってこちらを向いている。

男ならやることは、一つ。

ゆっくり修也への距離を近づけた。

距離が無くなり「ちゅうっ」と小さなリップ音が聞こえた瞬間、野原が慌てて顔を離す。
修也が同時に目を開いた。


「今のがおまじない? ちゅう?」

「う、うん! そうだよ」

「そっかあ、修也ちゅう好き。お母さんが時々ほっぺにしてくれるよ」

ほわほわした雰囲気で話すのに見た目が高校生というギャップにやられ、今にも倒れそうになる。
それにしても、念願のキスが果たせた上に嫌がらないのは願ったり叶ったりだ。

――うおおおおぉお! ついに木下とキ、キスしたぁあっ!


「もう一度しよっか!」

「うん、いいよー」

にっこり笑う修也についに野原が崩れ落ちた。

これはもう犯罪レベルの可愛さだ。こんな顔を見せられて正気でいられるはずがない。
廊下でごろごろ転がり出した野原を心配して修也もしゃがんで野原の背中をさする。

「痛いの? だいじょぶ?」

「大丈夫だよ。修也君といられて嬉しくって」

野原の言葉に笑顔を見せるが、ある一点を見て驚きの声を上げた。

「あ! ここ、おっきく腫れちゃってるよ! 大変、お医者さん呼ぶ?」

「こ、こここれはっ」

下半身の一部が元気になっているところを不思議そうに見つめられ、野原が慌てる。

そこへ第三者の声がした。



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