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非日常が日常です(完結)
3*微



大崎が平田の腕を掴んで揺さぶる。

「お、おい効いちゃったよ」
「マジか……。でもまだ効いたって証明されたわけじゃ……具合悪いだけかもだし」
「そっか……どうする?」
「何か命令してみっか」

万が一間違いだったらまずいと一つ実験することにした。
効いていなくても自然な流れでごまかせる「命令」をしてみればいいのだ。平田は数秒迷って口を開ける。

「木下、ユニフォームちょっと土付いて汚れてっから上着脱いじゃえよ」

「……はい」

小さく頷いた木下が何のためらいもなく脱ぎだす。大崎はおもむろに脱ぎだし上半身裸のまま立つ木下にぎょっとしたが、それと同時に少しだけどきどきしていた。

「これ、効いたってことだよな」
「すげーわこれ、本物の催眠CDだよ。しかもこいつ音聴こえてから速攻で催眠かかったな、個人差あるって書いてあっけど相当かかりやすいんじゃねぇ?」
「他にも命令してみようよ」

大崎がノリノリで平田はうまくいったなと笑う。
木下をどう命令するか考えていたわけではなかったが、そもそも常に爽やかな顔がちょっとだけ気に食わなかったのでどうせなら何か恥ずかしいことをさせたい。

「木下、下も脱げよ。パンツもだぞ」

「はい」

「えっ平田っ?」

慌てる大崎を無視して木下を見つめる。木下は上着と同じく何も感じていないかのような仕草でユニフォームの下を脱いだ。
次いで現れたボクサーパンツに手をかけてするりと脱ぎ足元に落とす。

今の恰好は靴下と上履きだけを履いた全裸の状態で、足元の下着や近くに落ちている上着も相まってかなり卑猥な光景である。

大崎は思わず「うわ……」と声を漏らす。平田も声には出さないものの内心驚きで一杯だ。

それにしても着替えで下着姿までは見たことがあるものの、無駄な脂肪の無い綺麗な体でやはり少し気に食わない。
視線は初めて見る下半身へと落ちていく。

「思ってたより普通だな、こいつのことだから彼女とヤりまくってると思ってたけど綺麗なもんだ」
「うん、小さくはないけどデカいって程でもないし」
「ちょっと聞いてみよーぜ」

気になった平田は木下へ質問してみることにした。

「木下は童貞?」
「いいえ」

「ま、そりゃそうか。初めてはいつだ」
「一年の夏です。当時の彼女に迫られて無理矢理ヤられました。それからは何となく怖くて誰ともしていません」
「うわっ逆レイプかよすげー経験。じゃあ一人だけなんだな」
「はい」

「今彼女いんのか?」
「いません」

「好きな奴は?」
「いません」

淡々と答える木下だが全裸のままなのでかなりシュールだ。
大崎は二人の会話を聞いて赤くしたりもじもじしたりと勝手に忙しそうにしていた。

「何か恥ずかしいことさせようぜ」
「これ以上?ちょっと可哀想じゃね」
「いいじゃん、どうせこのことは忘れちゃうんだし」

「そうか」と大崎は納得したように頷いた。
思案した平田が思い付いたと笑いながら木下を呼ぶ。が、その時静かな廊下からこつこつと靴音が響いた。

木下を除く二人はびくっとする。

黒板の上の時計を見るといつの間にか三十分近く経っていて下校時刻になっている。恐らく教師が見回りをしているのだろう。

これが見つかったらまずい、いじめかよくて悪ふざけ、とにかくいい方向にいくわけがないことは確かだ。
急いで服を着るように命じるが全て着終わる前に音の持ち主がここまで辿り着きそうだと思った平田は、大崎に「俺たちも上着脱ぐぞ」と提案した。

「いっ!?何でだよ」
「何でもだよ!」

がばっとユニフォームを脱ぎながら平田は言った。

そしてがらっとドアが開く。



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あきゅろす。
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