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非日常が日常です(完結)
3



「これ……お酒?」
「そー。お父さんが前に大量に買ってきたからちょっと減ったってバレない。飲んだら恥ずかしいの取れるだろ」
「ていうか俺飲んだこと無い。そもそも未成年だから飲む機会無いよ」
「俺だって一、二回しかねぇし」

プシュ、と軽い音を立てて缶の飲み口から匂いが香る。サワーなので飲みやすそうだ。
修也の手に持たせると口もとに近づけて匂いを嗅いでいた。

「結構美味いぞ」

すでに一口ぐいっといった慎也が修也を促し、恐る恐る口に付けてみる。

意外とジュースと同じ口当たりでいけるかと思ったが、あとからアルコール独特の匂いがつんと鼻を刺した。

「うー、ちょっと辛い」
「サワーでそんなこと言ってたら大学行った時飲み会参加出来ないだろ」
「その頃には飲めるようになる」
「なら練習しないと」

そう言いながらポケットに入れておいたストップウォッチに手を掛けた。

薄く口を開けたままの修也に近寄り、自分は酒を含んで修也に口移しで流し込む。
同じ動作を二度繰り返して口を閉じさせてから時を戻した。


「……っん!ごほッ!!」
「大丈夫?」
「ん……だいじょ、ぶ」

いきなり喉に流れていった酒に驚くが、何とか飲み干して平気だと慎也を見る。一気に煽ったからか元々弱いのかほんのり頬が赤くなっている。

「ほら、もう一回」

「う、ん」

促されるままぼーっとした様子でごくごくと飲む。勢いよく飲み出した修也はそのまま半分程飲みかたんとテーブルの上に缶を置いた。

「どんな気分?」
「え?なんかふわふわする」
「へー」

もうちょっとかと慎也がまた腰を上げた。
最初は悩んでいた自分なのにまるで忘れてしまったかのように気分が良い。
もしかしたら慎也自身も少し酔っているのかもしれない。

再度時間を止めて飲ませた慎也が修也の様子を観察する。

一度に飲ませたので、酒に慣れない修也は大分回ってきているらしい。

「ふふ」
「どうした?」
「気持ち良い」
「そうなんだ?じゃあもっと気持ちイイことしようか」
「もっと?」
「そう」
「うん。するー」

へにゃりと笑って修也は破顔する。

慎也はそんな修也に引き込まれるように缶を置いて修也をぎゅっと抱きしめた。

「はは、くすぐったい」

慎也が手をさわさわと上下に動かすとくすぐったいと修也が身をよじる。

「修君かわいい」
「俺男だから可愛くないぞー」
「ううん、可愛いよ」



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あきゅろす。
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