非日常が日常です(完結)
2
「イけない?」
「ん……」
無理矢理引き留めてソファに座らせ話を聞いたところ、自慰をしてもイくことが出来なかったというのだ。
本当はこんなこと聞きたくないが、もし何か悪い病気だったらと心配になったらしい。
だからせめて黙って聞いてくれそうな慎也に聞いてみることにした。
「元々たまにしかしないんだけどさ、さっきしてみようとしたらイけなくて」
相当悩んでいるのか恥ずかしいのか語尾がどんどん小さくなっていく。
「こんなの誰にも言えないし」
「修君……」
「でも慎也なら弟だし誰にも言わないだろうから」
信頼してくれているのが嬉しい、しかしもしかしたら今回の件は自分が関係しているのではとも思い始めた。
慎也は修也の知らないところで悪戯を仕掛けてしまった。
一度目は完全に時間を止めて行ったので支障は無かったはずだが、二度目はどうだっただろうか。
修也が目を覚ますまで完全に素で行ったので、修也もそれなりには勃っていた気もする。
そのあとイってはいないもののこちらが刺激を何度か与えたことで影響があったりしたら。
そんなはずは無いと思う反面罪悪感も増してきた慎也は、安心させようと修也にこうアドバイスした。
「勃たないわけじゃないんだろ?なら病気じゃねぇよ」
「うん」
「今疲れてるとかあったりしない?」
「うーん……特には無いけど」
目線を慎也から外して思い出そうとするが、特にこれといって思い付くものは無い。
「慎也はどうやってシてるんだ」
――爆弾投げつけられた気がする。
眩暈にも似た感覚が慎也を包んだ。
純粋に質問を投げかけているとは分かるがあまりにも今の慎也にはキツイ。
――修君想像してシてます!むしろ毎日出来そうです!なんて言えるかアホ―――!!!
「あー、いや、まあ週に何回かシてるかな」
「そっか。回数増やした方がいいのかな。溜まったら一回抜くくらしかしてなくて」
「……うっ」
どうやら修也はこの手のことにはかなり関心が薄いようだが、生々しい話題に興奮しそうになる己を叱咤する慎也。
こんなところで元気になるわけにはいかない。
「俺手伝おうか」
「え!手伝うって」
「だってこのままじゃ辛いんだろ」
「でもそんなの恥ずかしいし、俺の触るのなんか嫌だろ」
「別にそんなことねぇよ」
「でも……」
言い澱む修也を見てそりゃそうだろと思う。
相談はしたがアドバイスが欲しかっただけでここまでやってもらうつもりは無かったはずだ。
慎也自身も何故こんなことを言っているのかよく分からなくなっていた。
「じゃー恥ずかしくなくなればいいよ」
慎也がおもむろにキッチンへ向かう。
がちゃがちゃと音がして戻ってきたかと思うと、ローテーブルにとんと取ってきた物を置いた。
「これなら平気だ」
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