非日常が日常です(完結)
1
「おかしい」
修也は悩んでいた。
自室にいる彼は今軽めの部屋着でベッドに座っている。
「何でだろう」
そして何に悩んでいるかというと、とても人には言えそうにないことだった。
うんうん原因を考えてみるものの思い付かない。
――どうしようかな。
はあ、とため息を吐いて自室を出る。
とりあえず一旦落ち着くために何か飲もうとリビングを目指した。
「うあー……」
一方リビングでは慎也が悩んでいた。
「やっぱ何も知らない修君相手にスるのってまずいよな……。しかもちょっとした好奇心のつもりだったのに」
そう、最初は単なる好奇心だったはずだ。
しかし今はどうだろう、修也を見ただけで行動が不自然になる程に意識するようになってしまった。
そして修也の弟らしく口は悪くとも真面目な性格の慎也は、このような一方的な関係がよくないものだと悩んでいる。
この気持ちは許されるものではないだろう。
でもそう易々と諦められるものでもないわけで。
分かるのは、このままずるずると修也を騙す形になるのはいけないということだけだ。
「慎也」
「うおっ」
リビングに一人と思っていたところに修也に声を掛けられ変な声が出る。
今日は両親ともにいない日で二人きりという状況だけですら緊張するというのに。
慎也は焦る気持ちを隠すように落ち着いた声で返した。
「修君どうしたんだ?」
「あの、あのさ……」
修也はもじもじと視線を左右にさ迷わせながら言い澱む。
言いにくいことらしい、まさか何かバレたのではと思うがそんなはずはない。
まさかどこか体調でも悪いのだろうか。
「風邪とか?大丈夫?」
「う、うん。風邪じゃない、けど体調は良くないというか何というか」
「本当にどうしたんだよ」
「笑わないでくれよ……?」
不安そうな泣きそうな顔で見てくる修也が可愛らしい。こんな表情をそう思ってしまう時点でもう自分は終わっていると慎也はへこんだ。
それでも修也をよく見てみると心なしか顔が赤いようだ。
やっと視線が合ったかと思うととんでもない言葉が飛び出してきた。
「慎也ってさ、その、オナニーってする?」
「へ!?」
「あ、いやいいんだ!」
言い切った修也に驚き過ぎて慎也がおかしな反応をすると、顔を耳まで赤くさせてリビングを出ようとする。
思わずその手を行かせないよう強く掴んだ。
「何、なんかあったのか」
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