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非日常が日常です(完結)
9



満足した平田は「目を覚ませ」と命令して二人の催眠が解ける。

「さよーならぁ」

「あ?ああ」

がらっとドアを開けて退出すると、受付にいる大熊は首を傾げながら不思議そうに見送った。

「あー何だもう閉館時間過ぎてんな。さっさと帰るか」

体に少しの違和感を感じたが、特別嫌なものではなくむしろすっきりしている気がしたので気にしないことにする。
大熊は閉館処理をしてすぐに図書室を後にした。

一方昇降口まで下りてきた三人だったが、木下の様子がおかしい。


「修ちゃんどうした?」
「うーん何かすごいダルくて……腰とか痛いし」

腰を擦りながらはあ、とため息を吐く。
平田と大崎は顔を見合わせる。それはそうだろう、初めてなのにあんなものを挿れられてしまったのだから。
結局あの時木下は一度もイかずに終わったので、きっと意識があったら痛かったに違いない。

大熊のモノが巨大だとは思わず気軽に試してしまったが、さすがに可哀想なことをしたかと平田は今日木下を連れ込んで致すのを諦めることにした。

「あ、じゃあマッサージでもするか?」
「マジ?やってもらおうかなあ、平田マッサージ上手いし。時間平気?」
「おお、今日は何も予定入ってない」
「そっか、お願いします」
「俺も行く!」
「大崎もかぁ?まあいいぜ、うち来いよ」

三人で平田の家へと向かう。学校からは三人の中では二番目の近さ、歩いて十五分程だ。
木下はもっと近く十分もかからない近さで、大崎は自転車通学である。


「帰ったー」
「お邪魔します」

平田に続いて二人が家に入る。中から優しそうな女性がパタパタとスリッパを鳴らして玄関まで出迎えてくれた。

「あらあ木下君久しぶりね、いらっしゃい。あと君は何君かしら」
「お久しぶりです」
「大崎です。初めまして」

実は平田と木下は同じ中学だったので、こうして家に遊びに来るのも初めてではなかった。

「あ、用事終わったらすぐ帰るから何も持ってこなくていいよ」
「はいはい」

そう言って平田の自室へと入る。
木下に横になるように伝えてカーペットの上に寝てもらう。ベッドでもいいのだが床がある程度固い方がいいためだ。

「おっしいくぞ」

ぐぐっと力を込めて腰のあたりを重点的にほぐしていく。ほとんどが先ほどの行為のせいだろうが、日ごろのコリも一緒にほぐしてやった。
時おり気持ちよさそうな声を出すのでかなりコっているらしい。
しかし平田と大崎はその声を聞いて何となく図書室での出来事を思い出してしまい、熱が昂らないようにするのに必死だった。

「ん…あーさんきゅー。ちょっと軽くなった気がする」
「いやいいよ。またきつくなったら言えよ」
「うん」

「夕飯どうする、食ってくか?」とせっかくなので言ってみたが、いきなりは悪いと遠慮して二人とも帰ることにした。
平田の棚から漫画を拝借して読んでいる大崎を待ちながら木下たちは部活の話で盛り上がる。

「修ちゃん帰ろうー」
「帰ろうって反対方向だろ」
「まあまあ、俺そこのコンビニ行くからそこまで」

大崎がうきうきしながら言うのを部活後なのにテンション高いなあと木下はぼんやり思う。

「お邪魔しました」
「また明日な」
「おー」



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