東方炎龍伝
寺子屋にて
妹紅に連れられて寺子屋にやってきた。
「慧音〜、いるかい?」
「おいおい、まだ授業中だ。」
慧音の言うとおり寺子屋はまだ授業中。
子供達が席に着いて黒板に書いてある事を写していた。
「まあそう言うなって。お客さんだよ。」
「お客さん?ん・・・龍斗か?」
「まあ、龍斗で合っているし間違っている。」
元は一緒だからな。
しかし、説明を求められると少し面倒になるな。
特に、上白沢慧音は俺とは別の獄炎を名乗る人物と出会っているからな。
「なるほど・・・髪を染めたのか。それで気分を入れ替えて他人を気取っているのか。なかなか面白い奴だな。」
あらら・・・。
予想の斜め上をいきやがった。
まあ、これはこれで良かったかもしれん。
「そうなんだよ。真紅に染めてみたんだ。似合うかい?」
「何言ってるんだ?慧音もお前も。龍斗じゃなくて獄・・・ムグゥッ!?」
いらない事を喋ろうとした妹紅の口を塞ぐ。
(俺が獄炎だと喋るな。慧音が混乱する。)
(そ、そうなのか?)
(ああ。奴が出会った獄炎は俺じゃなくて別の奴だ。)
そう、俺ではないのだ。
態々他人の名を名乗って人助けするなど物好きだと思うが、何か思惑があるように思える。
「どうした二人とも。何か言おうとしたらコソコソし始めて。」
「い、いや何でもないんだ。龍斗は気取ってなんかないって伝えたかったんだ。」
「むぅ、そうなのか?」
良かった。
納得はしていないようだが、妹紅は話を合わせてくれるようだ。
「せんせー、授業しないの?」
忘れていたが、授業中に乗り込んだのであった。
今まで黙っていた生徒が慧音に声をかける。
「あ、ああ、授業中だったな。私も忘れていたよ。」
「すまん。また後で寄るよ。」
「ああ、そうしてくれると有難い。」
そんなこんなで寺子屋を後にしたのだった。
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