東方炎龍伝
門番と赤髪 獄炎side
「何で戻ってきたんですか?お嬢様はまだお怒りですよ?」
美鈴がそう言って不思議そうに俺の顔を見る。
そう。俺は紅魔館に戻ってきたのだ。
特に理由はない。
「いや、別に意味はないんだが暇だからな。」
「ひ、暇って・・・。」
美鈴は呆れたように呟く。
「暇だと言っても手合わせはしないし、お前んとこのお嬢と一戦交える気はない。」
「じゃあ何で来たんですか?」
「暇だからだ。」
「・・・。」
相当呆れてるらしく、美鈴は黙ってしまった。
「まあ、伝える事が無い訳でもないが。」
紅魔館の連中に関係無いといえば関係ないし、関係あるといえばある。
興味ないと言ってしまえばそれまでだが。
「へえ、どんな事です?」
「龍斗は生きてるって事さ。」
この幻想郷の何処かにいるはずだ。
「あれ?貴方が龍斗さんじゃないのですか?」
「話が長くなるから簡単に言うが、俺は龍古迅という奴のレプリカだ。龍斗は、その龍古迅のレプリカである俺のレプリカなんだよ。」
これで分かってくれるだろう。
「???」
と思ったのだが、美鈴は何言ってるのか分からないという顔をしていた。
あら?
ひょっとしてこの子はおつむが弱い?
「もっと簡単に言えば、奴は俺だが、火神龍斗っていう一人の人間であることには間違い無いんだよ。」
「なるほど!理解できました!」
「死んじまう前に俺から切り離したから、今は何処かで拾われて治療を受けてるだろう。吸血鬼の攻撃受けたくらいでくたばる奴じゃないしな。」
だが、誰にも見つけてもらえない場合や見つけられても放置される場合があるな。
そのまま野垂れ死にしてなきゃ良いが・・・。
「龍斗さんって人間離れしてますよね。お嬢様の一撃を受けても死なないなんて。」
「そうだな。何処であそこまで強くなったんだか俺にはさっぱりだ。いつでもアイツの行動を見る機会があったのに興味がないってだけで視野に入れてすらいなかった。」
アイツに関心を持ったのはつい最近の事だ。
俺の頭の中は戦う事で一杯だったからな。
「俺もアイツみたいに少しずつでも良いから変わっていかないといけないな・・・。」
「獄炎さん・・・。」
「さてと、話は終わりだ。とりあえずレミリア達に伝えておいてくれ。狙うなら俺じゃなく龍斗を狙えってな。」
龍斗には悪いが俺はガキの相手をする気は全く無い。
頑張って相手してくれや。
「分かりました。そう伝えておきます。」
「頼んます。じゃあ、俺はまた何処かへ行くよ。」
さて、次は何処へ向かうか・・・。
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