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東方炎龍伝
連行
何とかあの馬鹿な担任から逃げ切り、紫ちゃんを家に連れて帰ってこれた。
今日は散々な日だ。紫ちゃんのおかげで死に掛けた。

「まずは乾杯しようぜ。」

酒の注がれたコップを紫ちゃんに渡す。

紫「それじゃあ・・・。」

二人「カンパ〜イ!」

一気に酒を流し込んだ。久々の焼酎だ。懐かしい味がした。
紫ちゃんも酒をゆっくりと飲んでいる。

紫「龍斗。貴方に話があるのよ。」

「話?」

紫「ええ。貴方、異世界に興味ないかしら?」

異世界、ねぇ・・・・・。

「幻想郷へのお誘いか?」

紫「何故それを!?」

報告書通り。

「やはりか。隙間妖怪八雲紫!貴様をJDASUに連行する!」

M37を抜き、八雲紫の顎に突きつける。

紫「騙したわね!火神龍斗!」

八雲紫は俺の腕を掴んだ。

紫「人間風情が妖怪に勝てるとでも?」

俺の腕を折ろうとしたのだろう。力を入れた。
しかし、そんな事をしても意味が無い。

「ちょいと卑怯な手だがアンタの飲んだ酒に即効性の薬を仕込ませてもらった。薬の効き目が無くなるまではアンタは人間と変わりない。」

紫「な、何ですって・・・。」

「まあ何だ。JDASUへ来てくれるだけで良い。着いて少し質問に答えてもらうから、終わったら幻想郷へ帰るなり何なりしてくれれば構わない。」

M37をガンホルダーへ戻し紫から離れた。
正直言って女に銃を向ける趣味は無い。こういう仕事は苦手だ。
これこそ女性兵士がやれば良いのに面倒な仕事は全部俺に回ってくる。

「別に殺しもしないし手も出さない。来てくれるだけで良いんだ。」

紫「・・・・・。」

「レディーに銃を向けた事は謝ろう。申し訳なかった。」

紫「ふふふ。ますます気に入ったわ。まさか火神龍斗がここまでだとは思わなかった。予想外でしたわ。」

薬を飲まされたうえに銃を向けられたっていうのに何故この女は笑っていられるんだ。
八雲紫・・・。本当にコイツは何者なんだ。

紫「分かったわ。行きましょう。JDASUへ。」

「そうか。なら外へ出てくれ。」

紫と共に外へ出て、左にあるガレージのシャッターを開ける。
そこには見慣れたブラックのアメリカンタイプのバイクが置いてある。

ホンダシャドウ400。16歳の時に買ったバイクだ。
一生懸命にバイトをして免許を取り、バイク屋で買って余った金でカスタム。
この喜びには単車好きや車好きにしか分からない。

「ほい。それ被ってくれ。」

紫にヘルメットを投げる。俺もヘルメットを被った。

紫「ちょっと二人乗りするって言うの?大丈夫?心配なのだけど・・・。」

「安心しなよ。無免許でもタンデムしてたんだ。慣れてる。」

バイクに跨りエンジンを掛ける。
遠出したくなる様な心地良いサウンドが夜の住宅街に響いた。
ちょっと近所迷惑だが吹かす。
段々と気持ちが高ぶってきた。今にも走り出したい気分だ。

紫「初めてなんだから安全運転でお願いね。」

紫はバイクに跨ると俺の腰に手を回してきた。
別の意味で気持ちが高ぶった。
いかん・・・。相手はいくら美人でも妖怪だぞ。
本田の顔を思い出すんだ、俺!

「うぇ・・・気持ち悪ぃ・・・・・。」

気持ちは落ち着いたが、今度は吐き気が・・・。

紫「ちょっと大丈夫?」

紫が俺の背中を擦ってくれた。

「あ、ああ。大丈夫だからそれ以上は・・・。」

何故だ!何故に俺は妖怪相手にこんなにドキドキしてるんだ!
そうだ、紫が美人だからいけないんだ!
意識しすぎてるから駄目なんだ!

「クソッタレェ!」

アクセル全開でクラッチを繋いだ。
スキール音と共に煙を上げて急発進した。

紫「キャッ!?」

腰に回した手が更に強くしまる。

「ゆ、紫ちゃん・・・。マジでやばい!」

アクセルを更に回してスピードを上げた。
夜風が俺の火照った顔を冷ましていくのが分かる。今夜は寒い筈なんだが、俺は暑かった。

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あきゅろす。
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