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†黒執事+黒猫†
†黒執事+黒猫 act.90†


ガヤ…ガヤ…


騒がしい会場へと足を踏み入れた私は近くにある壁にゆっくりと凭れる。

遠くにはセバスチャンと坊ちゃん、そして後ろにマダムと劉とグレルの姿を目に留める。



貴族たちの笑い声に多少苛つく私だけど、これは坊ちゃんの命令であり私の使命なのだと言い聞かせ辺りを見渡す。



例のドルイット子爵はまだ来てないみたいだ。



まずは周りの貴族たちに話を聞かなくてはならない。

私は意を決して壁に預けていた背をピンッと張り目の前の男に微笑んだ。








「さて…まずはドルイット子爵を見つけなくてはいけませんね」


一方…

ティナを除いた5人はそれぞれの仕事を成し遂げるために会場を見渡していた。


マダムは目をギラギラと輝かせドルイット子爵を探し出す。
そんなマダムに楽しげに劉は笑う。

そしてマダムと劉とグレルの3人は紛れるように会場の真ん中へと消えていった。





「セバスチャン…」


「何ですか?お嬢様」



微笑んだセバスチャンをシエルは睨んだが諦めたように息をついた。




「ティナは大丈夫だろうか」


「心配…ですか?」


「ああ、少しだけだがな」


「ティナはああ見えて優秀ですよ。一度も失敗などしたことがありません」


「それは分かっている」




セバスチャンの言葉にシエルは俯き苦笑する。




「…私も…心配じゃないと言えば嘘になりますよ」


「?」


「だけど信用しています」



遠くを見つめたまま微笑むセバスチャンの視線を追ったシエルはハッとしてセバスチャンを見やる。



「信じる…しかないのですよ」


「ああ、そうだな」




苦笑気味に笑うセバスチャンを見てシエルは微笑んだ。


セバスチャンの見つめる先には知らない男と微笑み合うティナの姿があったのだ。







‐act.90‐

†珍しく猫抜きでの会話。

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あきゅろす。
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