いつかの僕等
傷心
その日は結局、学校に足を踏み入れる勇気もなく家に戻った。いわゆる“サボり”というやつである。
落ち着かず、携帯を手に取る、だが、機械に疎いため、いままでメールと、電話しかしたことがない。
もっぱら、電話もメールもするのは母親といとこの進自と司だけなのだが。
司の電話番号を見て消したほうが良いのかな、なんて思う。だが、告白も断られ、本人には拒絶され……。彼のプライドはズタズタだろう。
そこまで、彼を傷つける気は微塵もないのだが、こんな関係を体験したこともない俺がこの状況に適応出来るかなんて、期待しないで欲しい。
「なんでこんなことに……」
枕に顔を沈め、一人で呟く。
唯一無二の親友を無くすか、この関係を持続させるか。
最悪の二択だった。
「どっちも嫌だ……」
携帯を眺めて、何故こんなことになったんだと、一人考える。
「司、どうしちゃったんだよ……。」
こんな性格な俺といつも一緒にいてくれた。優しい彼はどこにいってしまったのだろう。
司、あの時言ってくれた「友達」という言葉に嘘はないよな。
そう信じないと、会えない……。
司目線
なぜ、あんな馬鹿な真似をしてしまったんだろう。
『瑞希の事……好きだ』
自分の放った言葉の重みをようやく理解した。
幼馴染からの突然の告白。ショックだっただろう。
でも、あの時は思ってたんだ。受け入れてくれるかも知れない……、と。
まあ、そんな淡い希望で動いてしまい、この結果なのだけど。自業自得というやつだ。
ただこの気持ちをずっと言わないでいたら、君とずっと笑っていられたのかな、なんて思ってしまう。
……でもずっと君のこと想ってたこの気持ちを伝えたかったんだ。それは間違いだったようだけど。
教室の俺の斜め後ろの席。今日は空席だ。
ああ、本当に馬鹿だな、俺。
失ったものの大きさに今更、気づくなんて。
払われた手。君の怯えた目。目を閉じると全てが鮮明に思い出せる。
……変。変だったんだ。男同士で恋愛なんて。
「はあ……」
溜息をつく。馬鹿馬鹿しい。もう諦めよう。君のことは忘れよう。
君の机に視線を移した。
君の笑った顔。落ち込んだ顔。泣いた時の顔。隣で全部見てきたんだ。
そんな簡単に、忘れられるわけがない。
恋って……こんなにも苦しいものだっけ……。
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