[携帯モード] [URL送信]
シグナルブルー





「やっぱあいつら頼りになるぜ!」

「よかったー!!」


やっとのことで
連絡がついたことの喜びと
しかもそれがヤマトたちだったことで
太一と時雨と光子郎の
表情は一気に笑顔へと変わっていた


三人はそれぞれ顔を見合わせる―――



しかしそんな余裕などなかった



「ヤマトたちにも
戦ってもらわないとねー!!」



そう

今遠い遠い島根にいる
彼らにもこのゲームに
参戦してもらわなければ
ならないのだから――――



太一たちはすぐさま
伝言を録音した



















No.9 シグナルブルー















「お兄ちゃん。伝言入ってるかな?」


タケルは言った

「そうだな。聞いてみるか…」


ヤマトとタケルはさっきからずっと
電話の前に座っていた


―――今度こそ……


タケルが運良く
テレビを見ていてくれたおかげで
ようやく太一と連絡がとれる
と思っていたのだが
なかなか太一からの伝言は
入ってこなかった


―――伝言入れてから
5分たったのにな………


その間にヤマトは
休むこともせずひたすら
センターに問い合わせていたのだった


カチャリ


受話器を手にし
ヤマトはもう何十回も押したボタンを
今度は祈るように押した


そして―――


『伝言を再生します』



ピー




『ヤマトぉー!!!』




「時雨っ!!?」


ヤマトの頬が一気に赤く染まる――


それは紛れもなく
蒼嗄時雨の声だった


『今から言うこととか
聞き漏らすんじゃねーぞ!!』


思いがけない人物の登場に
嬉しさを隠せないヤマト――


顔が一気に満面の笑みへと変わったが


しかし



「な、なんで太一の家に…!?」



―――時雨は太一の家で
何してるんだ?


自分でもわからないが
なぜかヤマトの中には焦りがあった


タケルはそんなヤマトを
見ながら隣で微笑んでいた


「お兄ちゃん。今島根にこなきゃよかったって思ったでしょう?」


ごーん――

図星


「えっ……!?あ、いや……」

タケルに本音を言われ
よけい焦るヤマト―――


「そんなこと……思ってない……」


そう言うとヤマトは
照れを隠すように伝言の続きを
聞いた―――



『2人ともデジヴァイス持ってますよね?』



「光子郎!?」


伝言はここで終わっていた


―――光子郎もいるのか………

それにデジヴァイス……

一体何が起こってるんだ…??







ピー



『ちゃんと持ってきたよー』

『おい!何があったんだ!!』


三人の表情は先ほどの
笑顔ではなかった―――


太一は伝言を確認すると
黙って光子郎に子機を渡した






ピー



『すぐにパソコンにセットしてください!!!』

光子郎が言った




『ネットの中に新種デジモンが現れたんです!!!!』




「「え?!!」」


ヤマトとタケルは顔を見合わせた


ネットの中の新種デジモン―――

どんなやっかいな奴なのかは
光子郎の真剣な声で
ヤマトもタケルも判断することができた



『もう一度戦うときがきたんだよ!
俺たち!!!!!』


『あの夏みたいに!!』



太一と時雨の声もまた
真剣だった――


「…………。」

「…………。」


三人に気合いが入っていることは
声だけでも十分伝わっくる――

だから自然と
ヤマトたちの表情も
覚悟の見えるものに変わっていた


「お兄ちゃん!」

「ああ!」


2人は頷く―――



だがその時――――




ヤマトとタケルは
一つの現実に気がついてしまった




それは―――――






ピー



『でも、デジヴァイスはあるけど
ここおばあちゃんちだから
パソコンなんてないよ……』



「「「え?」」」



三人の間に沈黙が流れる

表情は引きつったものへと一変していた



『ないよなぁ………
……島根だから………』



「だ、ダメだぁ〜完璧にぃ〜!!」

太一はその場に仰向けに倒れる

時雨も大きなため息をついた

そして

「……てかさ」

時雨は言った


「ヤマトは島根をバカにしすぎだと思う」


「だな〜」

太一は仰向けになりながら
弱々しく答える



光子郎はそんな2人を
ちらりと見たあと
すぐに子機を手にし叫んだ――


「お願いします!!!
何が何でもパソコンを探してください!!!!」



「島根にだってパソコンぐらいあるだろー!!」

太一も起き上がり叫んだ

「そーだよ!ヤマトは島根を
バカにしすぎだね!田舎だからって
パソコンないとか決めつけんなよ!!」

最後に時雨も言った―――













「急げ!タケル!!」


ヤマトとタケルは
伝言を聞き終わると
返事もせずに家を飛び出した


自分たちも一刻も早く
参戦するために――――――

←backnext→

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!