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アイランドな根っこ





「あぁ〜…」



―――in島根


タケルはおばあちゃんの肩を
たたいていた


たたきながらタケルは
後ろを振り返る――ー

そこには
だいぶ前から電話の前で座っている
自分の兄がいた



プー…プー…プー…プー…


「………?太一のやつ、何だったんだ?」


かけてもかけても
一向につながらない電話

何が起こっているのか
全く知らないヤマトは
ただ電話をひたすらかけ続けることしか
出来なかった―――


タケルはそんな兄を心配そうに
眺めて、そしてテレビに目をやった


―――まだかからないんだ……


とその時だった



「171?」



運よくタケルの目に映った文字


それは【災害用伝言ダイヤルのしくみ】というものだった


―――もしかして……!!



「お、おにいちゃん!!!」



タケルはヤマトを呼んだ












bW アイランドな根っこ












『え〜…只今入りましたニュースです。』


テレビに映った緊急速報


『東京都内の電話が一時的にかかりにくくなっています。』



「今日はいろいろ起こる日ねぇ〜」

テレビを見ながら太一ママは
一人つぶやいた―――



ガチャッ!!


「あら?」

突然勢いよく開いたドアに
驚く太一ママ

しかもそこから飛び出して来たのは
光子郎だった


「光子郎くん。もう帰るの?」


「すぐもどります!!!!」

光子郎はそう言うと急いで玄関から出て行った



それに続いてのろのろと
部屋から出てきたのは
太一と時雨だった


「母さ〜ん…………」

「おばさぁ〜ん……」


気力が全くないように見える2人

そしてそのまま
太一はソファーに倒れ
時雨は地べたに
だらだらと座り込んだ


「どうしたのぉ?太一ぃ、時雨ちゃん?」



「「もうだめかもぉ〜……」」


今度は2人の様子に驚く太一ママ

「何言ってるの?2人とも」


「はぁ……」

「あーあ……」


溜息ばかりつく太一と時雨



だが

その2人のため息はこれ以上
でることはなかった



『緊急に連絡する必要がある場合には』



「「っ!!!!」」


太一と時雨はそのテレビの言葉に
素早く反応した



シュルシュル〜と体をおこす太一

時雨は座ったまま
テレビを凝視していた



―――え?今、なんて?!!!




『災害用伝言ダイヤル171の利用を進めています』




「太一!!これだよ!!!!」

「ああっ!!」


今の世のなか便利なことだらけだね!!!


太一は早速子機を手に取った


ピピピッ!!


『災害用伝言ダイヤルセンターです』


よし!!いい感じ!!!


『録音される方は1を……』


1だなっ!!!


太一はまだ続く言葉を聞かずに
速攻1を押した


ピー

「もしもし!!ヤマト?!
この伝言聞いたらすぐ返事くれ!!
一大事なんだ!!!」


ピー

「丈!!この伝言聞いたらすぐ返事を!!」


ピー

「ヒカリ!帰ってこいって言ってるだろう!!」


ピー


「………。」



「????」


太一の動きが止まった


「なんか言わないの?」

時雨が聞く


時雨には
知ってほしくなかった…


でも………

仕方ないか……



太一は意を決して
伝言を録音した―――


「空この間のことは謝る…
だからこの伝言を聞いたらすぐ返事をくれ!!」


「………。」


―――やっぱり何かあったんだ

多分ケンカなんだろうけど……


時雨は必死に
電話をする太一を見つめた


ピー

「ミミちゃん!!この伝言聞いたら
俺んちまで連絡くれ!頼む!!」


「あ、わすれてたぁ」

不意に太一ママが言った

「どしたの?おばさん。」

「あのねぇ……」

太一ママは
ごそごそと紙の束の中から
一枚のはがきをだした


「はがき……?」


「そうなの。これ……
はい、ミミちゃんからよ」


「「えぇ!!!ミミちゃん?!!」」


太一はそのはがきを
ひったくるように
受けとる

時雨も太一のそばに
かけよった




ミミからのはがき―――


それは太一と時雨に
またも溜息をつかすはめになる


手紙の一番はじめは
「元気ィ〜!?」という大きな文字だった

時雨はそのはがきに書かれている
ことを声に出して読んだ


「あたしはげんきです。
元気すぎちゃって困っちゃうくらいで
もーホント誰か止めて―って感じですけど、
やっぱ元気が一番なによりだなー
なんて思っちゃったりなんかして。
ところでおみやげちゃんと忘れずに
買ってくるね――――――!!帰ったら
こっちの話もみっちりたんまり
聞かせたげるから待ってなさいよ!!
んじゃ、ミミでした。


…………だってー。ははは、
てか前半何が言いたいんだろうね?


「あ、いえるな。うん。
てかそれよりも、どこにいるんだ!」

太一ははがきの裏を見た―――

そこには




「「は、ハワイ…?!!!」」




ゴーン……

太一と時雨の時間が止まった



「ぁ……ぁぁぁ〜…」

時雨は言葉にならない何かを
口から発していた


―――ミミちゃん……

あたしミミちゃんのことは
大好きなんだけど…

一言言っていい……??



ざけんなよ



ガチャッ


その時玄関のドアが開いた


「あら、お帰りなさい。」

「どーも………って」

光子郎は一時停止した2人を見る

「どうしたんです?時雨さん、太一さん」



「「あはぁぁ〜……」」



そしてまたソファーの上に倒れた


















「ハワイですかぁ……」

光子郎は言った


「だめだぁ〜」

「完璧にねぇ〜」

太一と時雨は
ごろごろしている


三人は先ほどの部屋に戻っていた


「僕らって、いまいちまとまりないですもんね」

「だね〜。てか、みんな春休み色々用事が
あるんだね……」

「暇人は俺らだけってことか……」


ごろごろごろごろ……


そして時雨は
思いついたように飛び起き

「そーいえばさ、光子郎は何しに
家に帰ってたの??」

と言った

「あのですね……」

そう言うと光子郎は
自慢げに一つの物を取り出した


「衛星携帯ですよ」


「「衛星??」」

聞きなれない言葉に
太一と時雨は反応する

太一も起き上がった


「これならNTTの交換機を通さずに
外国のアクセスポイントに直結できます」

光子郎はそう言いながらも
必死でパソコンを操作する


「光子郎ってなんでも持ってるし
知識も多いよね。関心するよー。」

時雨はまじめに言った

「い、いえ…そんな……」

照れる光子郎

でもやっぱりパソコンを
いじる手は止まらない


「んじゃさ、それでヤマトたちに連絡とれば…!」


「ダメですね」

光子郎は言った

「国内通話は結局交換機を通るから」


「なんだよー…くそぉ〜」

またもゴロゴロし始めた太一


「171に伝言入ってるかどうか
聴いてみたらどうです??」


光子郎は言った


「「あ、忘れてた!」」

太一と時雨はそう言うと
子機を取りにリビングへと走った


ドタバタドタバタ……

そしてすぐに部屋に戻ってきた

勢いあまって
スライディングの様な形で
床に座る太一と時雨

光子郎もパソコンから離れ
2人のもとに寄った

「よし!聴こー!!」


ピピピピ…




『伝言を再生します……』


「伝言入ってる!!!」

「ああっ!」

「誰からでしょうか…?」

三人は子機に耳を出来るだけ近づけた



ピー



『もしもし。』


「「「っ!!!!!」」」


こここの声は――――


何かあった時に頼りになる

今の今まで三人が聞きたかった声だった





『ヤマトだけど…急ぎの用ってなんだよ?』




「「「ヤマト(さん)――――!!!」」」」

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