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白と青と黄色のもろもろ
交差15


雪村はどんな顔をしているだろう?

左隣にいる雪村がソワソワして俺の様子を伺っているのが判る


もしも、コイツが探りを入れているデカだったら、雪村もパクられてしまう



親父さんの顔が浮かぶ


あんな優しそうな表情をしてみせていたけど、鋭い眼光や彫りの深い鼻筋は冷たい印象がある

きっと怒らせたら怖いだろう



雪村にキスをねだって溺愛している親父さん


殺されっかも・・






ペタペタと草履で歩く音がして、革靴の隣に並ぶ

白いクロップドサンダルから覗く脚はやけに色黒で女にしてはデカイ


「どうしたの?」

ハスキーな声は柔らかいけど間違いなく男のもので


「・・記憶にある奴だ」

低い声は質問した相手に向けるよりも俺に向けられていた


「・・可愛いコ、高校生?」
少し驚きを含んだ声


「あの・・」

雪村が応えようとしたので慌てて顔を上げる



そこにはスーツ姿の男とタンクトップに短パンのアジア系の男がいた

二人とも俺よりも背が高い

「・・ソッチじゃない
コイツの方」

スーツの男は顎で俺を指すとポケットからタバコを取り出す


「ふ〜ん?」

色の黒いアジア系の男は縦にも横にもデカイ目で俺を眺める

綺麗な顔をしている


優しい顔がニッコリ微笑めば心拍数が上がった


「・・珍しいね、紳さんが人の顔覚えてるなんて」


「・・昔の記憶だ
微かだが嫌なものを見ちまった」

タバコの煙を吹き掛けられて僅かにムッとする


誰だ?
こんな奴知らねぇ






見下ろした顔に覚えはないし、会話的にデカではない印象を受ける


なんだ

ビビらせやがって



色黒が一歩近づき俺を覗き込む

優しい表情は崩さない


「・・確か馬場・・だったか

コイツがガキの頃、母親と家に来たことがある

・・昔から汚くて嫌な顔してたな」


男は汚いモノを見るように更に俺を見下ろした


「まだ生きてたか・・」






瞬時に頭が真っ白になって男に掴みかかっていた


なんだコイツ

なんだコイツ!


伸ばした腕は横から割り込んだ色黒に阻まれる


「退けっ!?ぶっ殺すっ!」

「ダメだよ、紳さんに手をだすなんて」

穏やかな声色とニッコリわらったままの表情

だけど俺の腕の間接を捩り、動きを止める



「ってぇなっ!離せ!」



色黒は一瞬歯を見せて笑った後、右手を捩ったまま俺の後ろに回り込む

あまりに早くて機敏な動作


細い体型のわりにびくともしない


無理に引きはがそうとして体を揺すると、変な角度のまま力をいれられる


ゴキッ


「っ!!ウワァア!?」


右手の感覚がなくなり強い痛みに支配サレる



スーツの男は何事もないような顔をして、膝まずく俺を無感情な瞳で見下ろしていた



「紳さんの知り合いだから手加減してあげるけど、もう辞めてね?」


色黒は耳元で囁くと捻っていた腕を離した




肩の間接が痛い



ブランと垂れ下がったまま動かす事が出来ない


心臓の拍動がやけに強く感じる


俺だって決して弱い方じゃない

喧嘩は好きじゃないし、痛い事はごめんだが、こんなにもアッサリとやられるなんて



なんだ?コイツは・・




「大丈夫か?馬場」

雪村が覗き込む


スーツの男は興味が無くなったようで、吸い殻を床に投げると個室に入って行った




「・・痛てぇ・・」

肩の間接が外れたのだろうか?

腕が上がらない


「痛いよね
明日くらいまで動かしにくいから、今日は真っ直ぐ帰ってね」

色黒は相変わらず穏やかに言う


「・・クソっ!何なんだよ!」


色黒は後ろから肩に触ると不思議な動きをしなが間接を外から動かす

「グッ・・」


更なる痛みを加えられて恐怖心で一杯になる


「ちょっと痛いかな?まだ骨が柔らかいから入るかな?」

倍増する痛みに堪えながらも、数回同じ動作を行うと肩がしっくりいった感じがした


「痛みが治まるまで吊っておくほうがいいよ
あと、湿布でも貼っとけば治る」


「・・テメェ・・」

色黒はしゃがみ込んでゆっくりと覗き込む

「・・そうゆう目とか嫌いじゃないんだけどね

もう少し大人にならないとね」
ガッカリ・・と言いたげに顔を振る



「・・ウルセェ・・」

痛みは和らいできたが、戦意は喪失していた

規格外の強さと掴み処のなさ


本能が避けている

こいつはヤバイ




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あきゅろす。
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