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白と青と黄色のもろもろ
交差12


そこは雑居ビルの地下にある店だった

大きな音楽と沢山の人


こんな場所は初めてだったし、酒やタバコの臭いがキツイ

何よりもこの音が五月蝿くて俺は30分もしたら帰りたくなった


馬場は知り合いが多いらしく色々な人に話し掛けられる


「おっ!馬場〜!?久々じゃん
お前電話くらい出てよ、お願いだから」

「お前からの電話には絶対に出ない」

「なんでよ〜!俺がSOS出せるのは馬場だけなんだから」

柄の悪い、派手な格好をした奴ばかり話かける



馬場って本当不思議だよな


大人なのか、子供なのか判らない


馬場の隣にいると馬場に話し掛けて来た奴が俺をチラチラ見る


正直あまり話したくないが、馬場の友達なら愛想良くしなきゃな・・


「・・もしかしてコチラさん・・学校のオトモダチ?」

「・・お前には関係ない」

「うおっ!ヤッパリ育ちがいいのは違うねぇ・・

何?このコウキな雰囲気?

どっかの王子様じゃないの?」


俺は顔が赤くなるのを必死に我慢する

「なっ・・何言ってんの」

「ヤベッ!王子と目が合っちゃったよ

・・馬場はいいなぁ
こんな王子と友達になれて」

馬場はグラスを空けると立ち上がった

「ウルセェよ、あっち行ってろ
雪村、女誘うぞ」





俺は非常に臆病で、人見知りも強い

ましてやこんな初めての知らない場所で知らない女の子に声をかけるなんて



そんな俺を尻目に馬場はカウンターの近くに居た二人組の女の子に声をかける


見た所同い年くらいか?


馬場は愛想よく話し掛けて相手の笑いをさそう

俺は少し後ろで時々聞こえてくる馬場の声を頼りに話題を掴もうとする



「・・後ろのコ、外人?」
女の子が俺に視線を向ける

「雪村、自己紹介」

「あ、どうも・・雪村です」

ペコリと頭を下げると女の子達は爆笑した


「ヤダー!?何このコ
変わってるね」

「雪村はこうゆう所初めてなんだ
だから優しそうな君達に声をかけた

色々教えてやってよ」


馬場はドリンクを頼むと一つ空いたボックス席に手招きする


女の子達は了解してくれたみたいで馬場と俺の間に座った


「・・・」

女の子は明るくて楽しそうに話し掛けてくれるが・・

俺は返答だけで必死だった


時々馬場に助けを求める視線を送る


大概は無視されるが、馬場は明らかに俺の反応を楽しんでいた






暫くして馬場は隣に居たコに耳打ちして女の子は二人でトイレに立った


「・・ふ〜・・」

変に緊張して汗が出る

アルコールも入っているからか頭がボンヤリした



「なぁ、アレでいい?」

馬場はすぐ近くに腰かけると耳元で囁いた

「・・何が?」

「女だよ、アレでいい?」

「?・・うん」

正直違うコと最初からやり直しなんて無理だと思った


「そっか・・じゃあ決まりだな」
馬場はそう言ってポケットからタバコを取り出した


「・・馬場、タバコ吸うの?」

「あ?・・うん、一仕事終えたからな」


ソファーの背もたれに体を埋めて深く吸い込む


ボンヤリとその姿を眺める
馬場は大人だな・・



「・・・雪村」

名前を呼ばれてハッとする

馬場は随分前から俺を眺めているようだった


「あ、ゴメン・・何?」

「・・あんましそうゆう顔すんな」


え?

ボーっとしてたからか?


急に馬場はポケットを探りはじめて携帯を取り出す


着信があったようで直ぐに話しはじめる

「ん、判った・・今から行く」

タバコを消すと立ち上がる

「雪村、行くぞ」

「え?」

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