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素晴らしきかな!!


「だからね、隆ちゃん! 去年王道転入生が入ってこなかったのはおかしい!! 隆ちゃんだって、おかしいと思うでしょ?!」
「別に」


ドラ焼きも全て食べ終わった隆ちゃんは、俺の熱い問いかけにも短く且つどうでもよさげに答える。
なんと…!!


「隆ちゃん、いい? 去年来なかったってことは、だ。……次に俺が何を言いたいか分かるかい?」


隆ちゃんは、さあな、と適当な返事を返して、ダルそうにソファーに深く座りなおした。
そんな様子を気にしないで、俺は若干興奮気味に答えを言った。


「近々この学園に転入してくるって事だよ!」
「…こんな中途半端な時期にか?」


もう5月に入ったぞ、と何言ってんだコイツ的な目で見てくる隆ちゃんに俺は不適な笑みを浮かべてみせた。
そんな俺に顔を顰めて、隆ちゃんは一言。


「うぜぇ」
「ちょ、酷い!!」


隆ちゃんといえば、俺の言葉に反応せずにさっさと続きを言え、とめんどくさそうに促してくる。


「…まぁ、こんな中途半端な時期に転校してくるからこそ王道なのだよ!」


なんとか気を取り直して、そう言ってみるものの反応はやっぱり鈍い。
というか、ぶっちゃけ興味無さそうだ。だって欠伸してるもの。


「そうかよ。まぁ、んなこたどうでもいいがな…お前いいのかよ? 明日の数学の小テスト」
「どうでも良くな……ん? 小、テスト…だと?」


反論しようと口を開いたけど、隆ちゃんが最後に言った言葉で我に返った。


「…お前、昨日自分で言っておいて忘れてたのかよ」


そんな隆ちゃんの呆れた声が聞こえたけど、無視してリビングの壁に掛けてある時計を勢い良く見る。
針は丁度午前0時を指す所だった。
顔がサァーっと青くなるのが分かる。


「隆ちゃっ」
「んじゃ、俺ぁ寝るぞ」


隆ちゃんに泣きつこうと慌てて振り向いたら、自室に入る前だった。


「え、ちょ、隆ちゃ…」
「じゃ、お や す み」


わざわざ言葉を区切って、意地の悪い笑みを浮かべてそう言う隆ちゃんは鬼だと思いました。







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