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兄貴たちには付き合いきれない。
これが我が家の日常
「流兄、優兄、朝飯できたぞ。起きろー」

階段の下から大声で兄貴たちを呼ぶ。

「あ、今降り……うわっ!?ちょ、待っああ!!」

ガタガタ……バキッ!

「いったぁ……あぁぁ!!どーしよ!?」

派手な音の後に流兄の焦った声がする。

またか……。

「今すぐ降りて来い」

ドタドタドタ……

「怜〜、肘すりむいた」

肘を抑えながら流兄が降りてくる。

心配すべきは自分の体じゃなくて、たった今破壊した何かだろ。

「知らん。で、今日は何を壊したんだ」

適当にあしらって聞いてみる。まあ、大体の予想はつくが。

「あ、の……ドア……」

チッ、まためんどくさいもん壊してくれたな。

「ごめ、怜……?」

眉間に皺をよせながらも何も言わない俺の顔を、流兄が不安そうに覗きこんでくる。

「だから床に物を置くなとあれほど言ったのに。勉強はできるくせに、ホントに学習能力がないな。……むしろわざとやってんのか?」

いつものように説教をしながら、ふと呟いてみる。

「違っ」

あらぬ誤解に流兄が慌てふためく。

「分かってるよ、アホ」

わざとだっら本気でシバくわ。

「ひど、」
「くない。事実だ」

そんなことを言い合っていると、

「わああ!!」

ドサッ、ガタガタ…

またも派手な音がして、

バタバタバタッ

「うわーん、助けて流!!」

優兄が慌ただしくかけ降りてきて、流兄に抱きついた。

「今日は何があったんだ?優兄」
「あ、怜くん。えっとね、怖い夢を見たんです!」

流兄に抱きついたまま、優兄が涙目でこっちを見る。

「……18にもなって怖い夢見たぐらいで泣くなよ」

呆れるどころの話じゃない。

「だって、包丁持った人に追いかけられたんですよ!?もう少しで殺されるところだったんですから!」

必死に怖さを訴える優兄。

「それは怖かったね、優。もう大丈夫だよ」
「う〜、ありがとう流」

流兄が優兄の頭をよしよしと撫でる。

流兄は甘過ぎると思う。しかも優兄にだけ。
優兄はまた泣いてるし。

「はぁ……とにかく、朝飯さっさと食え。流兄は自分でドア直せよ」
「はぁい」
「……ドア?」

下がり気味に返事をする流兄と、首をかしげる優兄。

優兄の部屋は二階の一番奥だから流兄の部屋の前を通るはずなのに、気づかなかったのか。……さすがだな。

呆れを通り越して感心さえしながら、靴を履く。

「俺は先に行くけど、遅刻するなよ!」
「大丈夫ですよ〜」
「いってらっしゃーい!」
「……いってきます」

鞄を持って外に出る。

なぜうちの兄貴たちはあんなに頼りないのだろうか……。

今日何度目かの溜め息を吐く。


……これが近所でも有名な、日向家の日常。
いつも賑やかで騒がしく、三男の説教が響いてる。
三男がしっかりした子に生まれたのは、ある意味奇跡だ……
そんなことを近所の皆さんはしみじみと思うのだった。

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あきゅろす。
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