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気持ち
 


「だ、大丈夫ですから、そんな…!あの、ほんとに大したことないんです」


見たこともないくらいの美形さんにぽうっとして反応が遅れてしまったが…聞き間違えでなければ、俺を送る、と言ってくれたような。いくらなんでも、見ず知らずの人にそこまでしてもらうわけにはいかない。



「早めに帰って、ゆっくり休むんだぞ」

「…はい…」


優しく諭されて、俺は素直に頷いていた。男性はそれでも心配そうにしていたが、これから何か予定でもあるのか…渋りながらも、お大事に、と言い残して公園を去っていった。

…不思議な人だ。小さくて遊具も少ない、近所の子供たちもあまり遊びにこないような寂れた公園にいる高校生になんて、普通、声をかけたりしないだろう。


でも。嬉しいな。俺がどうなろうとあの人には関係ないはずなのに、あんなに心配してくれて。

両親が亡くなってから…いろいろあって、俺は壁を作って周りの人との交流を避けてしまっていた。だから、誰かに心配してもらえたのも、優しく接してもらえたのも、たった一人の家族である祖母以外では久しぶりだ。


なんだか暖かい気持ちになった俺は、男性が去っていった方向をそれからしばらく見つめていた。


 

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