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箱庭の世界 The world in miniature garden
遺跡へ
「んで……ここが、その魔術士の遺跡か」

 両手を腰にあて、ディルは目の前に広がる荒れ果てた遺跡を眺めた。

「なんというか…予想どおり荒れ放題だな」

 ルシアが素直に感想をもらす。
 ディル達は、先程の宿がある村から歩いて一時間ほどのところにある魔術士の遺跡に来ていた。
 雨ざらしのために遺跡の表面の石は苔むしていて、遺跡の周りの雑草も伸び放題である。

「…崩れたりしないでしょうね」

「縁起でもない事いうなよ」

 半眼で呟くアリーナにディルが突っ込む。

「作りは頑丈なはずですから…度をすぎて暴れなければ大丈夫だと思いますよ」

 フィーユがフォローする。

「……住み着いてる賊が暴れまくらないといいけど」

 ぼそりと呟くキューブをあえて無視し、ディル達は遺跡へと足を踏み入れた。

 乾いた靴音が、遺跡に響く。
 無機質な石の回廊が続き、薄暗い闇がただよう遺跡内部はかろうじてあたりが見通せる程度だ。
 外は荒れ果てていたが、内部は──魔術でだろうか──別段崩れそうな様子はない。

「魔術士の遺跡には魔力にしか反応しない道具みたいなのがあるそうです。 なので、研究都市ダアトでも、魔術士の遺跡の道具については研究が進まないそうですよ」

「その道具っていうのは、ダアトに持ち帰られてる可能性はないの?」

 ディルの頭の上に乗っているキューブが、ティーユに尋ねる。

「大がかりなものは遺跡に放置されていると思いますよ」

 と、そこで先頭を歩いていたコウが足を止めた。
足を止めた彼に気づくのが遅れたディルは彼にぶつかり、呻く。
 そんな彼らに気づき、後を歩いていたルシア達も足を止める。

「どうしたんだよ」

 顔をしかめ少し棘のある口調で、ディルはコウに問うた。
 そんなディルの口調を気にした様子もなく、彼は先を指さし淡々と言葉を吐く。

「声がする」

「声?」

 聞き返したのはディルではなく、ルシアだった。
 顔をディルと見合せ、足音をたてないように慎重に歩きながらコウが指さした方へと歩を進める。
 くだりの階段が延びており、遺跡のさらに奥へと続いているようだ。
 その階段の奥へと耳を澄ますと、人の声が聞こえてきた。
 さすがに何を話しているかまではわからないが。

「宿屋の人がいってたガラの悪い連中ってやつかしら」

 声をひそめアリーナがいう。
 足音をたてずに階段を降りるコウに続き、ディル達も後に続く。

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あきゅろす。
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